第2話『スキル、それは記憶から生まれる』

 仮想空間に降り立った[[真観しんかん]]の姿は、若干若返っていた。

おそらく三十代半ば。



 シワも無く、姿勢が良い。だが目の奥には、

現実と変わらぬ深い静寂と集中が宿っている。



 自分の姿を三人称視点で観察し、頬を赤らめる。


 「……イケメン……ぽ。」


 ――スキルの初期化完了。


 【初期スキル一覧】


 ・精神集中Lv99(パッシブ)

 ・護身呼吸術(カウンター型アクティブ)

 ・無念夢想(常時発動パッシブ:心の乱れ無効)

 ・実況力(オーラ型バフ:敵情報を強制開示)


 「実況力てなんや!?」


 視界に表示されたスキル説明文に首を傾げると、唐突に敵モンスターの一体が喋り出した。


 「おい! あいつ無念夢想持ってるぞ!? 攻撃が全部すり抜けるぞ!!」


 「護身呼吸術で反撃されたら即死だって聞いた! しかも実況力で情報ダダ漏れってマジ!?」


 「……やかましいわ!」


 と、言いつつこれが意外と便利だったりする。


 真観はそっと構えた。呼吸が一瞬で整う。姿勢、視線、重心――すべてが一つの線に収束した。


 「天覇流、一の型。“気断”」


 気配だけで敵の首が吹き飛ぶような、静かで鋭い一撃。あたりにただよう残響音。


 そこに、技の余韻が《エコー(残響)》

として記録されるというシステム演出が入る。



 《LOGOS反応:スキル変異発生》


 ――新スキル生成:【[[気断ノ残響エコー・オブ・ブレイク]]】


 「ほう……AIが、私の技に名前をつけたか」


 「……某鬼を滅するマンガのパクリか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る