第2話



目を覚ますと、私はベットの上にいた。

ここがどこだか見覚えがありすぎる。


私の部屋だわ……

さっきまで私は殺されかけていたのに、どうして部屋に……

それとも、まさかさっきのは夢……?


「ミルフィー様、失礼いたします」


混乱していると、侍女のマイラが入ってきた。


「マイラ……」


「どうなさいました?顔色が悪いですが……」


マイラは私を気にかけてくれていた方だった。


でも、マイラは確か私が17歳の時に嫁いでいったはず。

どうして、ここにいるの……?

まさか、時間が巻き戻っているとか……?


「マイラ、今は何年何月何日?」


マイラの問いかけを無視して聞いたら、訝しげな表情をされる。

でも、すぐに答えてくれた。


「帝国暦258年3月18日でございます」


ということは、私は今15歳。

まさか、本当に……


「体調は別に平気よ。それより、何の用……?」


「あ、はい。本日で謹慎が解けるという旨をお伝えにきただけでございます」


謹慎……

私はもう何かを仕出かしているのね……


「分かったわ。伝えにきてくれてありがとう」


お礼を言うと、マイラは驚愕に満ちた顔をした。

まぁ、私はお礼を言ったことなんてなかったから、驚くのも無理ないわ。


「は、はい。あ、それからもう1つございました。公爵様から食堂へ来るようにとのことを仰せつけられています」


「……分かったわ」


お父様との食事……

気が重いわ。


「着替えたら行くから、もう下がってちょうだい」


「かしこまりました」


「失礼します」と丁寧に頭を下げて、私の部屋から出ていった。

この状況に混乱していたけど、だいぶ落ち着いてきたわ。


「信じられないけど、本当に時間が巻き戻ったのね」


こんな奇跡みたいなことが起こるなんて……

今まで信じたこともなかったけど、案外神様っているのかもしれないわね。

そう考えて、もしかしたらあの声は神様の声だったのかもしれない、なんて……


前の私なら考えもしなかったことを思った。

今度こそ、あんなことにならないためにも、状況を整理しないと。


……いや、それよりもまずはお父様のところへ行かないといけないわね。

整理するのは後。

また無視される、そう思うとやっぱり気が重くなったけど、いつまでも部屋にいるわけにもいかない。

さっさと着替えて、部屋を出た。


目的地に着くと、トントンと扉を軽くノックしてから部屋に入る。


「おはようございます、お父様」


「……」


一応挨拶をしたけど、いつも通りだわ。

何も返してくださらない。

お父様にとって、やっぱり私はどうでもいい存在なのね……



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