第2話
*
目を覚ますと、私はベットの上にいた。
ここがどこだか見覚えがありすぎる。
私の部屋だわ……
さっきまで私は殺されかけていたのに、どうして部屋に……
それとも、まさかさっきのは夢……?
「ミルフィー様、失礼いたします」
混乱していると、侍女のマイラが入ってきた。
「マイラ……」
「どうなさいました?顔色が悪いですが……」
マイラは私を気にかけてくれていた方だった。
でも、マイラは確か私が17歳の時に嫁いでいったはず。
どうして、ここにいるの……?
まさか、時間が巻き戻っているとか……?
「マイラ、今は何年何月何日?」
マイラの問いかけを無視して聞いたら、訝しげな表情をされる。
でも、すぐに答えてくれた。
「帝国暦258年3月18日でございます」
ということは、私は今15歳。
まさか、本当に……
「体調は別に平気よ。それより、何の用……?」
「あ、はい。本日で謹慎が解けるという旨をお伝えにきただけでございます」
謹慎……
私はもう何かを仕出かしているのね……
「分かったわ。伝えにきてくれてありがとう」
お礼を言うと、マイラは驚愕に満ちた顔をした。
まぁ、私はお礼を言ったことなんてなかったから、驚くのも無理ないわ。
「は、はい。あ、それからもう1つございました。公爵様から食堂へ来るようにとのことを仰せつけられています」
「……分かったわ」
お父様との食事……
気が重いわ。
「着替えたら行くから、もう下がってちょうだい」
「かしこまりました」
「失礼します」と丁寧に頭を下げて、私の部屋から出ていった。
この状況に混乱していたけど、だいぶ落ち着いてきたわ。
「信じられないけど、本当に時間が巻き戻ったのね」
こんな奇跡みたいなことが起こるなんて……
今まで信じたこともなかったけど、案外神様っているのかもしれないわね。
そう考えて、もしかしたらあの声は神様の声だったのかもしれない、なんて……
前の私なら考えもしなかったことを思った。
今度こそ、あんなことにならないためにも、状況を整理しないと。
……いや、それよりもまずはお父様のところへ行かないといけないわね。
整理するのは後。
また無視される、そう思うとやっぱり気が重くなったけど、いつまでも部屋にいるわけにもいかない。
さっさと着替えて、部屋を出た。
目的地に着くと、トントンと扉を軽くノックしてから部屋に入る。
「おはようございます、お父様」
「……」
一応挨拶をしたけど、いつも通りだわ。
何も返してくださらない。
お父様にとって、やっぱり私はどうでもいい存在なのね……
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