14話
そして、心配そうな表情でどのような声をかけたらいいのか分からない様子をしている弟。心配している理由は分かる。人前で婚約破棄をされ、元婚約者に斬りかかられたのだ。その状態でも普通の令嬢ならパーティに参加できなくなってしまうだろう。その上、明日も誕生日パーティがある。主役の精神を心配するのは当たり前だろう。
「……明日もパーティがあるのに大丈夫なの?」
「大丈夫、こうなってしまうだろうなとは思ってたから」
「でも…」
「アスネット、貴方は察してると思うけど…私は人と本気で関わろうと思ったことはないわ。でも、それと同時に裏切りそうな人間は分かるのよ。……これも想定内ってこと」
タルザナは、そう言い困ったような表情で微笑む。見ているこちらが、心が締め付けられる思いである。するとタルザナの部屋をノックする音が聞こえてきた。タルザナは気配で父、モリオンだと気づいたため「どうぞ」と姿勢を正しながら答える。それに答えるようにドアをゆっくり開けられる。
「……タルザナ、少しお前に言いたいことがあってな」
「何でしょう?」
「お前、オハイキス皇太子に蹴りを放ったのか?」
「はい、正当防衛です。……あちらから剣を抜いたのですから」
それを聞いたモリオンは、「信じられない」と言った表情をしていた。だが、その話しに嘘はないということは他の貴族達にもザクロ嬢にアスネットにも聞いているだろう。
「……分かった。いっちょ潰してくるわ」
「「え、!?」」
と言い、タルザナの部屋をあとにしようとするモリオンを二人がかりで止めて話しを聞くことにした。
モリオン曰く、途中から話しを聞いていたらしく顔を赤くしながら飛び出そうとするモリオンをアスネットが抑えていてくれたそうだ。その為、モリオンはタルザナが居なくなった後も怒りを抑えながらしっかりと片付けを手配をして近くにいた貴族達にも話しを聞いていた。モリオンとアスネットタルザナ達からの離れている場所から聞いていたため間違いがあってはいけないと考えてのことだ。すると明かされたのは自分たちが想像している以上に酷い言われように、怒り抑えるのに骨が折れたと言う。
「……今は他の貴族達が皇太子の処遇について国王に話してくれるようだ。まぁ、最低でも皇太子の座からは引き摺り下ろされるようにしてやる。あんな男が王など虫唾が走る」
「……流石に不敬ですよ。お父様」
「事実だ」
「うん、事実だね」
モリオンと共にアスネットまでもがオハイキスのことを酷く罵っている。タルザナは慌てながら「アスネットまで…」と二人を嗜めていた。そして正気に戻った二人はタルザナの顔を見ながら「タルザナは大丈夫なのか?」と言わんばかりの表情をしていたのである。
「……想定内なので大丈夫です。それより明日のパーティは私も参加します」
「え!?」
「……」
「だって、あいつから逃げたら私負けたみたいじゃない。そんなの私の知っている強くてクズな悪役令嬢じゃないわよね…?私は悪役令嬢を完璧に全うする」
悪い顔をしながら二人に微笑みかける。その表情は、普段…人に見せたことのない子供のような物だった。その表情に二人は、安心したようにタルザナに微笑みかけた。そして二人が部屋を去ると、タルザナは一人でボソッと呟いた。
「……想定内だったのに何で胸がズキズキするんだろう?」
……それを恋であったと知るのはもう少し先のことてある。
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