5話

 二人が両親の元に行くと両親達は、楽しそうに話していた。戻ってきた娘に対して母が嬉しそうにしながら声をかける。


「タルザナ、楽しかった?」


「……別に」


「あらあら、初めてのお友達何だから優しくしないと」


「友達じゃない」


 とそっぽを向いたタルザナに苦笑するペリドット夫婦。一方少年両親達は、


「楽しかったか?」


「うん!楽しかったよ!」


 と。目をキラキラと輝かせながらそう言う少年。それを見て少年の両親は「良かった良かった」と微笑んでいた。

 するとタルザナの番になり神官が「では、この板の上に手を乗せてください」と淡々と説明をする。その説明を聞いたタルザナは説明された通りに手を置いた。すると白い光が激しく光った。周りは、「おぉ…」と感嘆した。白は前世の行いが善であったか否かで光は激しければ激しい程、生まれついた魔力保有量が多いということだ。魔力保有量は後から増やす事もできるのだが、それでも生まれたときから魔力が多い方が色々と好都合だからである。


「それで、どの魔法をお使いになられますか?なお、後からは変えられないのでしっかり考えてくださいね」


「分かりました。私は……氷と風にします」


「え、あまりに相性が良くないと思いますが…?」


「えぇ、そうでしょうね」


 神官がそう言うのも無理はない。氷魔法と風魔法は、相性が悪いのだ。それでもタルザナは堂々とした立ち居振る舞いで「ですが、氷と風にします」と言い放った。公爵令嬢であるタルザナの言葉を無視する訳には行かず神官は「畏まりました」と言った。馬鹿なやつだと言わんばかりの顔である。タルザナはそんな神官を無視していたがモリオンが笑顔で一歩前に出て口を開く。


「僕の娘がどうかしたのかい?」


「い、いえ…何でもないですよ」


「僕の娘が決めたことだよ。……君が口を挟むのかい?」


「失礼しました」


「うん、では…よろしくお願いしますね……?」


 モリオンの笑顔の圧に負け神官は凄まじい速さでタルザナの頭を触れる。

(……目が笑ってないんだけど)

 そして厄介事に関わりたくないのか、仕事が終えた瞬間タルザナ達に「終わりました」と言い逃げるように後ろの少年両親の元に行った。


「さぁ、帰ろうか」


 モリオンはタルザナ達に向けた笑顔は神官に向けた顔とは比べ物にならない程の微笑みだった。そして馬車に戻ったリシアが向かいにいるモリオンに話しかけた。


「あなた、かっこよかったですよ」


「そ、そう?愛しい娘に不快な目を向けたことに腹が立っただけだよ」


「フフッ、タルザナもよくあの神官を睨まなかったわ。偉いわね」


 と言いながら微笑みタルザナの頭を優しく撫でるリシア。


「……お父様」


「!なんだい?」


「あ、ありがとう」


「…どういたしまして」


 と微笑みタルザナの頭を撫でる。タルザナは両親を父、母とは呼んでいなかった。その為、リシアとモリオンは嬉しそうな表情でタルザナを見る。タルザナは首を傾げながら「どうかしましたか?」と二人に問う。


「ううん、タルザナからお父様って言われたのが嬉しくてねぇ」


「そうなんですか…お母様もですか?」


「そうねぇ、嬉しすぎる。今日は3人でお祝いしましょうか!」


「何のお祝いですか!?」


 タルザナが困惑していると、モリオンが「いいね!タルザナが好きなものを食べようか」とノリノリである。そして晩御飯はタルザナの好きなものをになり、いつもより和気藹々とした物になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る