転入前夜 ※グループトークあり
「へー。即合格とかスゲーじゃん」
武と伸二に報告したら、伸二がまずそう返してくれる。
「まあ、確かに俺も伸二も、放課後や土日に時間作れるかって言うと厳しそうなんだよな」
続いて、しみじみと武が言うが、やっぱりかって思いが大きい。
「それって、愛華さんと恵梨さんとイチャイチャする為なんだろ?」
羨ましいなと言う気持ちはあれど、祝う気持ちは本当なので、ちょっと茶化す様に言ってみる。
すると、武も伸二も神妙そうな顔つきに変わった。
なんで?
「いやー。それがさ。なんか愛華さんの親族に色々挨拶しなきゃいけないんだよ」
「そうそう、俺も同じで恵梨さんとこに挨拶に行かなきゃなんだけど。どうもその時に結婚適齢期の女性とお見合いをさせられるみたいでさ」
「は? お見合い? なんで?」
いや、マジで意味が分からんのだが。
と、そんな俺に伸二が説明を始めてくれる。
「なんかさ、この世界だと男が少なすぎて、寧ろ結婚できるならいくらでも女性と結婚してくれって風潮があるらしいんだ。でも、同じ親族で囲い込めば、必要以上に嫁を持たなくても良いらしい」
「うんうん、俺も恵梨さんからそう聞いているな。ただ、流石に性格的に合わない相手ならば拒否できるみたいで、だからお見合いって形にしてくれたみたい。ただし、五人以上は同じ親族の女性と結婚しなきゃ、囲われたってならないみたいなんだよなぁ」
「って事は、最低でも五人以上と結婚するって事か?」
「そうそう、そう言う事だ。なにより、愛華さんにどうしてもってお願いされちゃったらなぁ。断れないよ」
「分かるぜ。俺も複数人となんてって気持ちはあったんだが、恵梨さんからどうしてもって言われたもん。じゃなきゃ、国主導のお見合いには強制参加になる上に、普通にこちらから断れないような相手も混じってしまうから、お見合いの度に嫁が増えていくとかもあるんだってさ。で、もしそのお見合いで恵梨さんの実家以上の格の家の者に見初められたら、恵梨さんとの仲を引き裂かれるとかなると、な」
「そうそう、俺も愛華さんと別れるとか一番嫌だから、やっぱやるっきゃないよね」
「マジかー。って事は、俺もちゃんと相手見つけねーとやばそうだなぁ」
二人ともあまりにも真剣で、全く冗談ではないのだろう。
ってこたぁ、俺も彼女どころか嫁や結婚について色々考えないといけねーな。
「まあ、男性保護区にいきゃぁその限りじゃないらしいけど。そこには男しかいないみたいでさ。流石に愛華さんと会えなくなるくらいなら、愛華さんがお勧めする女性とだったらなんとか頑張ってみるかって思っている所かな。つっても、無理そうだなってなったらまた考えなきゃいけねーけど」
「そこなんだよなー。今更恵梨さんのいない生活なんて考えられないけど。でも、いくら恵梨さんが選んだ女性っつっても、中々厳しいんじゃないかなって不安があんのさ」
「あー。まあその辺りは嫁にするって決めた女の人達を皆愛せばいいじゃん」
二人の悩みも重々分かるが、割と簡単な対処法があるじゃんと思って口にしてみる。
と、二人とも信じられないと言った表情を浮かべた。
「は? いや、そんな軽々しいものじゃないだろ?」
「そうそう。まあ、ハーレムは男の夢だとか、前の世界でも嫁を複数持てる国があったりとかしたけどさ。めっちゃ好きな人出来たら、他の人にっての割と厳しいぜ」
「なるほど。俺は別に特別好きって人が居ないからってのがあるのかもな」
あまりにも二人が厳しい口調で責めてくるもんだから、俺の感覚がおかしいのかもしれない。
まあ、確かに完全に平等って事は難しいのかもしれないな。
その場合確かに不誠実すぎるし、となると、俺はまだ特定の誰かを好きってなってないから、端から複数の女性を同じくらい好きになれるよう意識しといた方が良いかもしれない。
それはともかく、ここまでこいつらがのめり込んでいるって、よっぽど相性がよかったんだろうなぁ。
じゃあ、少なくとも友人である俺は応援しよう。
なんにしろ、女性と付き合っていくのなら、複数の彼女なり嫁なりを持つのは確定事項みたいだし。
うーん、俺としてはぶっちゃけVトゥーバーになる事だったり、明日からの学校の事をもっと話したかったんだけどな。
二人がそれぞれの想い人との事で悩んでいるみたいなので、結局その日は俺が聞き手に回る事になったのだった。
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通話・メールアプリ ライム『星稜高校2-A仲良し女子グルチャ』
マーコ:ねねね、明日転入生が三人も来るんだってね。楽しみだねー
さきりん:マーコ、白々しすぎだから。女子生徒の転入生も来るって
完全に囲い込まれちゃってんじゃん
ジャスミン:ねー。男子だけって聞いててめっちゃテンション上がってたのに
昨日突然女子の転入生も来ますは流石にないわ
ぷりん:ほんとほんと、ガン萎えだよねー
マーコ:いいじゃんいいじゃん。すでにお手付きでも目の保養くらいには
なるじゃん
ぷりん:マーコは初心だねぇ。それすら許さない連中かもよ
マーコ:しょんなー。折角星稜高校に受かったのにぃー
さきりん:それを言うなし
ジャスミン:まさか、すでにお手付きになっているなんてね。って当然か
トパーズ:そりゃ、元から知り合いの女子達が死に物狂いで周りを死守する
わよね。私だってそうする
マーコ:くぅー。幼馴染として知り合えるかがほぼ全てなんて知りたくなかった
ぷりん:それでも、まだ男子と話せるだけマシなんだよね。他の学校の男子
ってさ。女子と話すのも毛嫌いする人多いそうだよ
ジャスミン:あっ、それ私も聞いた。同じ中学の子に聞いたら、本当に素っ気ない
んだって
トパーズ:それでも女に囲われてないんでしょ。失敗したかなーって思うわ
マーコ:でもでも、皆と友達になれたし。やっぱり私はここに進学して良かったよ
さきりん:そうね。マーコが居てくれて本当に良かったと思うわ
ジャスミン:それはそう。お陰で相手が見つからない五人で楽しくしているし
トパーズ:そうね。そうじゃなきゃ他のクラスの独り身女子みたいに辞めてたわ
ぷりん:そうよねー。すでに男を囲い込んでいる組か、そこに上手く取り入った子
以外で残っているの、本気で私達くらいだものね
マーコ:だから、私としては私達五人で転入生の子を独占したかったのにぃ
ぷりん:マーコ、それは流石に恐れ多すぎ
トパーズ:マーコはいい子なんだけど、常識知らずよねぇ
マーコ:ぶーぶー。夢見るくらい良いじゃない!
ジャスミン:これでマーコが学年トップとか、本当に冗談でしょ?
さきりん:それよ。一番勉強してなさそうなのに
マーコ:そこは努力もあるから。じゃーなーくーてー。今はそうじゃないでしょ!
ぷりん:ふふふ、マーコは本当にからかい甲斐があるなぁ
さきりん:同意
トパーズ:上に同じく
ジャスミン:うむうむ。私達のリーダー兼マスコットだものね
マーコ:とにかく! 希望を捨てたらダメよ! 一応先生から情報を集めたんだ
けど、三人の内二人がお手付きで、一人はフリーのはずだから
さきりん:……は? なんで知っているの?
マーコ:そりゃ、転校してくる女子生徒達の苗字が宮野と鐘ヶ江しかいなかった
からよ。三人いるのは、鐘ヶ江の方がどうも双子みたい
トパーズ:本当にマーコって油断ならないと言うか、ちゃっかりしていると言うか
天然入ってなきゃ本気で完璧超人なのに
ジャスミン:うんうん、凄いよ本当に。いよっお嬢様!
マーコ:お褒めにあずかり光栄ですわよ。おほほほほってバッチバチの庶民に
なにさせるんじゃー!
ぷりん:知っているか? これ演技じゃなくガチでやってんだぜ
トパーズ:本当に天才となんとかは紙一重とはよく言ったものね
マーコ:ぶーぶー。皆がまた虐めるー
ジャスミン:ともかく。分かったわ。フリーだろう一人に猛烈アタックするって
事ね!
マーコ:うん! 当たって砕けてくるわ!
ぷりん:あっ、これだめだ
トパーズ:終わりだわ
ジャスミン:私達は無力ね
さきりん:マーコを止められる訳がなかった。もうお終いだぁ
マーコ:え? なんで? 大丈夫。大船に乗ったつもりでいてね!
マーコ:ん? なんで皆返信くれないの?
マーコ:大丈夫大丈夫。単に誰よりも先に話しかけるだけだから、安心して!
マーコ:おーい、本当に私泣いちゃうよ?
ジャスミン:私達が死ぬ気でフォローするから、マーコ、好きにやっちゃえ
トパーズ:ごめんね。覚悟決めてただけだから
さきりん:大丈夫、退学になる時は一緒よ
ぷりん:私達は皆マーコに助けられたからね。私達が助ける番!
マーコ:えっと。協力してくれるのは嬉しいんだけど、なんか私がやらかす
前提じゃない⁉
トパーズ:やらかした回数をその大きなお胸で数えてみなさい
さきりん:そうそう、両手両足の指の数程度じゃ足りないわよね?
マーコ:……はい、ごめんなさい。私が悪かったです
ぷりん:その上で皆マーコに付いていくって決めたの。だから、やってやりましょ
ジャスミン:そうそう、外部生でもやるときゃやるのよって見せつけよ!
マーコ:皆! ありがとう! 私頑張る!
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