二章

第12話 恋人に昇格しました

「……なあ悠真」


「ん?」


「俺、もう幽霊じゃないから──そろそろ、抱いてくれてもいいよ?」


「……は?」


「いや、ずっと我慢してたんだって。触れないの、地味にメンタル削れたし」


「お前な、復活した翌日にそのテンションは早すぎるだろ」


「早いも遅いも、気持ちはずっとあったでしょ?」


「……あったけど!」


「じゃあ、はい。今夜、俺の初夜です。よろしくどうぞ」


「軽いな!? 初夜ってもっとこう、しっとりしたもんじゃないのか!?」


「悠真と一緒なら、笑っててもいいじゃん。俺、やっと触れるんだよ? キスも、抱きしめるのも、──全部」


「……っ、あーもう、お前……!」


「んふ、照れた? じゃあ、これ以上は俺からいくね」


「ちょ、ま、わかった! ちょっと心の準備ってもんが──」


「はい、キスー」


(ちゅっ)


「……やべぇ、ほんとに触れる……」


「今さらかよ!」


「だって、ずっと透けてたのに……実体あるって、こんな……柔らかいんだな、お前……」


「うん、ちゃんと肉ついてる。生きてるって感じでしょ?」


「……生々しいこと言うな」


「ふふ。悠真の手、あったかい。ね、もっと……して?」


「……お前のくせに、そんな顔すんなよ……」


「悠真……俺さ、またここに戻ってきて──ほんとによかった」


「……おかえり、蓮。今度は、ちゃんと俺の隣にいろよ」


「うん。ずっと一緒にいる」


「……にしても、積極的すぎるんだよ、お前」


「え、なに? 悠真は意外とウブ?」


「──黙って脱げ」


「はいっ、かしこまりました!」

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