第10話 脳内で巡る危険信号
「うっひょ〜! 私のベッドだ〜!」
私はハイテンションで、ルイル様から貰ったベッドの上で跳びはねる。
家で使っていたものよりも硬いけれど、案外寝てみたら気にならないかもしれない。
ともあれ今は私用のベッドが来たことを喜ぶべきだろう。
「過去一元気だね〜」
「当たり前! 睡眠が一番大事だから!」
「うんうん。喜んでくれて、ルイル様も満足そうだしよかったよ」
なんて言いながら、シンシアは山盛りに積まれた魔導書を眺めて苦笑する。
「村長さんったら、ナナちゃんが可愛いからってこんなにもくれちゃうなんて……魔導書って高いからさすがに申し訳ないな〜」
私はふと現実に戻って表情筋が死ぬ。
そうか、私は魔導書を読まなきゃいけないんだ。
まさか転生してまで勉学に励まなくちゃいけないなんて……少し悲しいな。
まあでも、ルイル様やシンシアはよくしてくれてるし、期待してくれているんだから読まないわけにはいかない。
よーし、少しばかり頑張りますか。
もちろん睡眠の邪魔にはならない範囲でね。
私は積まれている魔導書の方まで行き、何冊かを手に取る。
かなり分厚い……けど前世で買っていた参考書と同じくらいだからそうでもないな。
「お! 早速読むんだね! なんかお茶でも入れてあげようか?」
「うん。お願い!」
「オッケー!」
そう言って、シンシアはパタパタとキッチンに向かう。
なんだかこの感じ懐かしいな。
学生時代……それも受験生の頃を思い出す。
私は椅子に座り、正面の丸机に何冊か積む。
よし、本格的にやっていきますか。
◆
どれくらいの時間が経っただろうか。
気がついたらシンシアは出かけていて、外はもう真っ暗になってしまっている。
恐らくは十時間くらいは勉強に励んでいたのだろう。
ああ……これくらいならどうってことはない自分が怖い。
悲しいことに長時間の勉強は体が慣れてしまっているんだよな。
「でも夜九時か。さすがにシンシア遅いな」
時計を見て、ハッキリと時間を理解する。
外も気になるし、シンシアを探すついでに色々と見て回ってみようかな。
そう思った私は、近くにあった紙に一応外に出ることを書いておく。
もし入れ違いになって心配させちゃったら申し訳ないしね。
「カキカキっと」
メモを残したので、早速私は夜の村の散策に出てみた。
シンシアの家は村の隅の方にあるので、少しばかり中心に行くには歩かなければならない。
でも、なんていうか。
この村……魔物が出てくること以外とても平和だ。
村人たちは楽しそうにお酒を飲んでいるし、この時間なのに子どもも出歩いている。
まあでも、魔物が出てきて大変だから村内で争う暇なんてないのだろう。
なんて思いながらのんびり歩いていると、急に肩を叩かれる。
刹那、脳内に無数の考えが高速で巡った。
夜の村。幼女が一人。突然肩を叩かれる。
これはもうあれだ……不審者に襲われそうになっている!
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