中途障害者おーの半生 今生きてるのが楽しい!
明るく派手な中途障害のおー
第1話幼少期のおー と家族と環境
今49歳のおー。30代後半で下半身麻痺の車椅子になった。現在のおーは、精神的な波はあれど、傍から見れば金髪の明るいおばちゃんだ。
到底、悩んだり病んだり…なんてしそうにないとよく言われる。
そんなおーも、昔は内弁慶でいじめられっ子。
読書やパズル…インドア派な趣味で、歳の離れた姉や年配の両親の影響で、松山千春やYMO演歌に歌謡曲と年齢的に聴きそうにない音楽とテレビよりラジオに囲まれ育った。
おーの家族は、おーの親にしては年配の両親と10歳離れた姉、そして母方の祖母の5人家族。
とても田舎で、バスも1時間に1便。しかも街に行くのは夜7時が最終。街からのは6時過ぎが最終だったと記憶している。信号機もほとんどなく、小学校まで徒歩40分中学校は1時間というようなとこだった(しかも行きは下り、帰りは登りonly)
おーの子供時代は、今の時代では考えられないかもしれないが、山に山菜を採りに行ったり、川のそばでキャンプをして、川を泳いだり川虫を使った魚釣りをして、それを石を積んだ釜戸で焼いたり橋の上から川へダイブしたりと、まるでトム・ソーヤーの冒険の様な子供時代だった。
こんな風に書くと、とても仲のいい家族のように思われるだろう。
でも、実際は…とても複雑な関係や気持ちの行き違いが日常の家庭だった。
おーが、お腹にいた頃父が不貞をしたらしく、暫くは給与は家に入れていたが、家には帰ってこなかったと聞いている。修羅場の大騒ぎになった結果、父は家庭に帰っては来たが、母に頭が上がらず…母は父を信用したり頼る事が出来なくなった矛先を、姉に向けるようになり、姉に対する執着は凄かった。そして、そんな状況下で生まれたおーは、母の中では「仕方なく産んだ子」だった。母には、姉さえ入れば良かったのだ。そもそも母は、子供のまま大人になった様な人だったので、祖母がおーに構ったりお年玉を渡すと、常に張り合い、おーにはとても厳しかった。いじめられて泣いて帰れば「勝つまで帰ってくるな」と相手が男の子でも関係なく放り出された。学校に行きたくないと言えば「とりあえず行来なさい」と理由も聞くことなく行かされた。母は、自分が出来て来たことを、我が子が出来ないはずは無い!と、信じていた。親と子は、血は繋がっていても別の人格なのに…だ。実は、おーは3歳まで言葉が出なかった。つかまり立ちや歩くのは早かったが、絵本も大好きで、読み聞かせだけでなく、自らも読んでいたにも関わらず…だ。昔は「足が早ければ言葉は遅いから…」と根拠の無い思い込みで安心していた。今の時代なら、きっと自閉症若しくはアスペルガーと言われただろうと思う。
姉は姉で、歳が離れていた為、学校生活の他に家事やおーの世話など、親代わりのようにする事が多かった為、自由がなかった。それが姉は不満だったが言えずにいたようで、大人になってからおーが小さい時から邪魔だと思うていたと、親にはナイショで聞かされた。
父は、母や姉に頭が上がらないから、おーと相性が良かっただけなのか、言いたいことをお互い言って、口喧嘩や取っ組み合いをしながらも、いつも一緒に出掛けたりしていた。イジメに耐えられず、学校に行きたくないと泣いた時も、なにも聞かず「ドライブ行くか」と1日ドライブな連れてってくれた。コレがなければ、おーは不登校に間違いなくなっていたと、今でも断言出来る。ただ、そんな父も本音は、娘ではなく息子が欲しかったから、時折寂しそうに「お前が男の子ならな…」と言われたものだ。
おーが生まれてから、おーの家族の最初の転機は、おーが小学校3年の時…姉が集団就職で家を出た時だろう。
とくに、大きな家でも名家でもなかった我が家だが、田舎故長女が家をでる!と言うだけで、大騒ぎだった。特に、母は気が狂った様に泣き情緒不安定になりながら反対していた。しかし、姉はおーが居るからと、行きたかった進学も諦めさせられて、我慢の限界もきたのか反対を押し切り、「3年で帰ってくる」のを条件に遠くに就職した。
姉が就職してから、母は何かしらの理由をつけては、毎日姉に軽く1時間は電話していた。時には泣きながら…愚痴をこぼしていたのを憶えている。
姉が家を出た事で、明らかに母の様子が変わり、幼心におーは「私がねーちゃんの代わりになる!」と必死に頑張った。けれど、元々要らない子な上、姉とは明らかに性格も頭の出来も違ったおー「お姉ちゃんは出来が良かったよね」と周りからもずっと比べられていたし、学校でも姉を知ってる先生からは「𓏸𓏸(姉のなまえ)の妹」と名前ですら呼ばれなかった。
そんなおーの努力は「あんたには、無理よ。分からんよ…ねーちゃんやなかけん」と言う母の一言で打ち砕かれ、初めて「おーは必要無いんや」と思うたのが、この頃だった。
それから小中学校と、いじめや虚弱体質からの病気と色々苦戦しながらも、学校生活を過ごしたおー。その間に、父が職場を解雇され、更に家の中で母の父へのあたりは強くなり、母もパートに行く事になるのだが、そのパート先に父の昔の愛人が居たりと、何かにつけて夫婦喧嘩が絶えず、雰囲気は決して良くはなかった。おーの事を「要らない子」と言う割には、父と揉めると、母は必ずおーに愚痴を言い、おーの部屋で寝た。
おーは「要らない子」「姉より出来の悪い子」と言われながらも、なんとか中学3年生を迎えた。
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