第9話 ステータス・オープン!
作戦会議。
「さて、地球とはまったく異なる異世界での冒険。
魔物が徘徊、種族が混在し、時代背景は中世ヨーロッパ時代。
聞かなくても予想はつくけど、どうする?」
「オレは異世界で冒険がしたい。見返りはそこまで興味はない」
「男の子だねー。タケ兄は召喚されて10秒でときめいてたし」
「ノゾミも100%その気だろう?」
「0歳児からの転生や、一生異世界暮らしのパターンじゃないからね。魔王討伐後、帰れるのが保証されてるのは大きいね。アヤ姉は?」
「…わ、ワタシは…帰りたいわよ。なんで何年も知らない世界で闘って暮らさなきゃならないのよ」
「巨乳ちゃんになるよ」
「………」
「自分の欲求に忠実のアヤ姉が迷う程か。大きいおっぱいは、どんな誉れや功績より悲願だからねー」
「何でワタシの悲願知ってるのよ!」
「異世界行きは決定事項。嫌だとゴネても強制。
それならいかに有利な条件を引き出すか? それに尽きるんだよねー」
「有利な?」
「異世界がどんな環境下なのか?どれほど劣悪な場所なのか?
説明を聞いた限り察しできるでしょ。あまりに不便や不衛生だとイヤだしね」
「どれだけ酷い所なのよ」
「王国、帝国、貴族と話してたでしょ。
これはもう昔の中世ヨーロッパの文明だね。
上下水道はなし。オフロは裕福層のみ。
水洗トイレなしの、ドッポンやバケツ。
トイレットペーパーなし。拭くのは葉っぱか布きれ」
「帰る!これもう人権侵害でしょう! 神さまなら個人の自由を奪ってもいいの? そんな権限、神にだってないでしょ!」
「正論だねー。けど見返り (おっぱい)無視できる?」
「………」
「なあ、ネット・スーパーのスキルあるんじゃね? アニメとかラノベのこと言ってたし」
「現実的じゃないと言いたいんだけど「転移」「召喚」「おっぱい」「若返り」。
討伐後は時間逆行での帰還。ご都合主義の異世界ハイファンタジーだからねー」
「なに? ネット・スーパーって」
「異世界でも地球の通販で買い物できる固有スキル」
「…スキルってそんなことできるの?」
「そこまでのご都合は多分ないと思う。けど神様のイヤホン、○ONYの最新のだった」
3人はゴンダラフを見る。
目を瞑り、リズムに合わせて身体を動かしている。
「本当に神さま?」
「アヤ姉の小学生並みの胸を巨乳にできる実力者だよ!洗濯板が、」
<パコーン>
頭を叩く。
「痛っ」
「洗濯板言うな!」
「とにかく、アタシたち地球人の人知が及ばないのは確かだね」
「頼めばいろいろ都合してくれんじゃないか?」
「鍵は現神「ゲンダラフ」神さまかな?
干渉不能とは規律による違反的行為なのか?
いま話をしている神龍予定の神さま(ゴンダラフ)の権限はどの程度なものなのか?
いずれにせよ普通に交渉しても禁令とか言って濁されそう。けど脇が甘いね。アタシたちと話を合わせようと地球の知識を織り交ぜてるのは悪手。そりゃ欲も出るって。
そこで有利な条件を引き出すため駆け引きをしようと思う」
「駆け引き?」
「交渉が成功するかは微妙。賭けだけど徐々にアタシのペースに持っていく」
「お前のペース?ちょっと恐いんだが…」
「あと闇魔法の確認もさせてもらう。
タケ兄はアタシが合図したらスキルやステータスのことを神さまに質問してくれない?」
ノゾミは手を上げる。
「はい、神さま。話し合いは終わりましたー」
ゴンダラフはイヤホンを取る。
「ちなみにどんな音楽を聴いているんですかー?」
「○島みゆきです」
「なかなかいいセンスですね」
「分かりますか?この良さが?」
「アタシはご乱心時代から90年代後期までが至高ですね。
神さまとはいい話し合いができそうです」
「双方納得する話し合いをして、あなたたちを「テラウス」に送り出すことができるなら幸いです」
「双方納得、幸い、この言葉にアタシも同様です。
では要望や質問をさせてもらいます。
「テラウス」は過酷な世界ということですが、能力向上とはいえさすがにこの身一つでは心許ないですね。
そこで異世界生活をするにあたって、アタシたちの身近な物を少し融通してくれたら嬉しいです」
「スキルやギフト、これ以上のない利点を持ち合わせているつもりです。
後は冒険を始める前に年齢を若返らせる。身体的特徴の変化。融通はこれぐらいしか認められませんね」
「ネット・スーパーのスキルありますよね?」
「その手の作品はラノベに溢れていますが、さすがに理外の理ですね。そのようなスキルが所持できるなら、私も所望したいくらいです」
「ないですかー。でも神さまはけっこう地球産の物、利用してますよね」
「この事に関しては禁則事項です。これ以上の事は申し上げられません」
「いろいろ用立てて欲しいです。地球の現代っ子ですよ。Z世代の若者ですよ。いきなり異世界に放り込まれるんですよ。
そこはほら、心密かに、以心伝心ということで」
「重ねて、申し訳ありません」
「きびしくないですかー? ねーいろいろ欲しいよねー」
ノゾミはタケルにアイコンタクト。
「神さま!スキルですが!
冒険に際してチートなスキルとかあるんですか?」
「希少なモノがありますよ」
「鑑定はありますか?容量無限の収納は?時間が凍結の!」
「スキル等の詳細は禁則で、「テラウス」に降り立ってからの確認になります。
ですが乗り気な貴方には特別に教えましょう。
「鑑定」は聖者のみですが「異次元空間収納」は3人ともギフトの中にあります」
「おーー!! ステータスは?ステータスを見るには例の言葉ですか!?」
「はい、その例の言葉を唱えてください」
「「ステータス・オープン」」
迅速にステータスを確認するタケルとノゾミ。
「おー! LV86!
勇者! 攻撃力が788。属性魔法は火、風、無、聖。スゲー!」
「アヤ姉も確認して。ステータス・オープンって」
「え?」
「早くー」
「……「ステータス・オープン」。 うわっ、何これ、目の前の!?」
「ジョブは?」
「……賢者?」
「魔法の種類は?」
「火、水、土、風、雷、無、聖。LV4とかLV2って何よ?」
「賢者で7属性ですか。神さま、7属性以外は習得はできますか?
黒魔法とか闇魔法とか?」
「闇魔法はありますが、それは禁忌とされております」
「アタシできれば闇魔法欲しいんですけど。
帰還の見返りは無用なので神さま権限で、闇、お願いします」
「聖者に闇魔法はあり得ません。そこは譲れません、諦めてください」
「賢者なら可能ですか?じゃあアタシ、アヤ姉とジョブ・チェンジしてください」
「ジョブ同士の移譲など適性があり、それこそ不可能です。断念してください」
「禁忌ということは、習得は不可能ではないんですよね?」
「闇魔法は精神破壊を引き起こす非常に危険極まりないしろものです。
人の精神力では暗黒へ堕ち、身体は急速に損壊されることになるでしょう」
「アタシ闇落ち少女で精神は黒いです。巨大な闇が心に巣食ってます」
「許可できません」
「個人の嗜好を優先させないとアタシの心に刺さらないですね。
よほどの異世界マニアの異世界馬鹿しか響かないんですけど」
「…え? オレ、デスられてる?」
「他に何も望みません。闇、妥協してくれませんかね?」
「兄と姉の目の前で意識が混濁、人間性を喪失する様、そんな姿を晒したいのですか?」
押し黙るノゾミ。
「ノゾミ、お前の悪魔好き趣味は承知だが危険なのはやめてくれ。ここは神さまの言う事を聞いた方がいい。オレも許さん」
「…分かった。本気出す」
「本気…?」
「では、質問させてもらいます。
ゴンダラフ神さまは、神さま的にどんな立ち位置なんですか?
9代目神龍「ゲンダラフ」神さまと、どのような関係ですか?」
「現在の正当な神は9代目「ゲンダラフ」神様です。
神は世襲制ではなく禅譲で、私は10代目神龍内定者。
近々正当な神龍へと就任されることになるでしょう」
「この召喚の選定は誰が決めたんですか?
召喚責任者はゴンダラフ神さまなんですか?
神さまも瞬間空間移動ができるんですか?
そのスマホでネットはできますか?」
「今回の召喚は「ゲンダラフ」神様が選定しました。
私に案内人の大任を任せられ責任の所在は私ですね。
空間移動はギフトがあります。
このスマホは連絡事項のみ、地球でいうネット環境には対応しておりません」
「ネットは繋がらないけど「ゲンダルフ」神さまと連絡はできる。
仮に「ゲンダルフ」神さまが遠い星の惑星、地球などに滞在してる場合、それで連絡できるんですね」
「………」
「無言は肯定の証、把握しました」
アヤカの手に持っているスマホを指さす。
「異世界での冒険を進める上で、アヤ姉のスマホは没収ですか?」
「私物はそのままお持ちになって結構です。個人の持ち物を取り上げた事例は過去にはありません。それにすぐに使えなく不要になりますからね」
「タケ兄は無報酬でも意欲的。
アヤ姉は若干揺れてますね。
アタシも条件次第で討伐を請け負います」
「その条件とは?」
「アタシのスマホです」
「スマホ? 使えませんよ」
「アタシはお爺ちゃん子で、こう見えても信心深いんです。
朝起床時、亡くなった祖父に挨拶するのがルーティンです。
スマホの祖父の画像、これがないとアタシの1日が始まらないのです。
何年も想い出の祖父を見ることができないのは耐えがたいです」
「…それは」
「アタシからお爺ちゃんを取り上げないでください。神さまは地球へ空間転移できるんですよね?
スマホがあればアタシは何の憂いもなく冒険活動を進めることができます。揺れてるアヤ姉の説得もしましょう」
「な、なに言ってんの!」
「…分かりました。どこにありますか?」
「アタシの部屋のデスクにあります。あと充電切れ対策でソーラーモバイルバッテリーも欲しいんですが、これは持ってません」
「…少々お待ちを」
ゴンダラフは詠唱を始め、杖を振るとその場から姿が消える。
「ちょっと、何が説得よ」
「どうせ異世界行きは決定。それなら少しでもいい条件を提示しなきゃ。アタシだってスマホくらい持ちたいし」
「信心も写真も嘘でしょうが。お爺ちゃん居ないし」
「いろいろ布石は打った。スマホくらいで収めるつもりはないよ。
本命は闇魔法だけど」
「ノゾミの語尾が伸びない時は、要注意だよな」
「黒ノゾミ……」
――
8 ステータス・オープン! 終わり (58)
9 交渉 (59)
――
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