第7話

ー奏太ー

屋上で鳥の声を聴きながら座っていると下からふざけ合う男子達の声が聞こえてくる。

すると、いつもは聞こえてこない声が聞こえた。やさしい歌声。歌なんてどうでもいいはずなのになぜかずっと聞いていたい気分になった。

「良い歌声、、」

僕が呟くと

「どうもありがとう」

後ろから声がした。僕は吃驚して後ろを振り向くと見たことのない女子が立っていた。

「キミはいつもここで1人なの?」

話しかけられて少し緊張しながら僕は答えた。

「そうだよ」

「そうなんだ。名前教えてよ。私、今日転校してきたんだ」

「僕は、、奏太。春崎奏太」

おどおどしながら僕が答えると

「私は春野桜音!苗字が春っておそろいだね」

にっこり笑って話す彼女に目が釘付けになった。

「春野さん、、」

「私のことは桜音っ呼んで!あと、奏太って呼んでいい?」

名前を呼ばれて恥ずかしく思いながら答えた。

「いいよ。えっと、、桜音、、さん」

「それでよし!で?どうした?」

「さっき今日転校してきたって言ってたけど、教室いやだったの?屋上に来る人なんて珍しいから」

僕が教室にいるのが好きじゃないから桜音さんもそうなのかなと思って訊いてみた。

「いやー、友達もできたし教室でおしゃべりしてても良かったんだけど、屋上って青春な感じするじゃん!」

予想外の答えがきて驚いたが、今少し話しただけでもわかるこのフレンドリーさならすぐ友達もできるかと納得していると桜音さんが訊いてきた。

「奏太は教室嫌い?」

「嫌いではないけど、好きでもないかな」

「どうして?友達いないの?」

直球な質問に僕は少し笑いながらに答えた。

「話すくらいの友達はいるよ。でも、人に深入りしないようにしてるんだ。

いなくなったら悲しいし、全部どうでもよくなるんだ」

なぜだろう。初めて人にこの事を話した。

「そうなんだ。うーむ、、、どうでもいいものって例えば?」

急に訊かれて動揺しつつ考えた。

「え、、えっと、、本だって誰かが作った作り話で現実にはならないし、勉強ができたって必ず夢が叶うわけじゃないでしょう?夢が叶ったっていなくなった人が帰ってくるわけでもない」

僕が顔を曇らせると桜音さんが言った。

「確かに本は作り話で現実にはならないけど、実際にはできないことを想像で楽しめるし、創造力がついたり漢字が得意になったりするんだよ!あと、勉強をするのは、いつか本気で夢を叶えようとした時に役にたつんだよ。失敗しても諦めずに挑戦すれば叶うと思うよ!あと、、そのいなくなった人はそれを望んでると思う?奏太自身が動かないことをそのいなくなった人のせいにしてるんだよ」

真面目なことをはっきり言われて少し納得する気持ちはあったけど、怒りが出てきた。

「桜音さんにはわからないよ!僕の気持ちなんて」

僕がその場を立ち去ろうとした時桜音さんは言った。

「待って、奏太っ!」

遠ざかっていく桜音の声を聞きながら僕は階段を駆け降りた。

家に帰って僕は反省していた。桜音さんは僕のために言ってくれたのに強い言い方をしてしまった。明日謝ろう。朝早く屋上に行ったら会えるかな、、?もう来てくれないかもしれない。そんな不安を感じながら布団に横になった。 

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