第3話 こんなそばかす美人で驚いたか?
「そんな……あれは」
私の目に入ったのは、そのすさまじいまで集約された暴力だけでは無かった。
最も安全な場所と言われている終末の断崖。
その向こうには、魔王の居る魔島が座していたのだ。
そして私の知る最強の魔法使いが、勇者パーティにいるアンジェリカさんではないこと。
この最果ての地に居る魔法使いの彼女こそが、このローレンス大陸で最も最強の魔法使いであることが分かった。
そして、何故学園長が頑なに私を此処へ送ったのか。今年度の学年の中で優秀な魔法使いである私が、どうしてこの場所へ行かせられたのかも、その時悟ったのだった。
「よう、待っておったぞ」
「こっ、これだけの数の魔物をアナタ一人でいつも食い止めているのですか?」
「ああ、そうじゃ」
ああ、そうじゃって、良くそんな淡々と。
まるで家計簿を面倒くさそうにつけている主婦みたいに。
夥しい数の魔物が海を越え、この岸へと上がろうとしている。いや、それだけじゃない。翼を持つガーゴイルやワイバーンなんかも数百匹は下らないってのに。
「こっ、こんなのを毎日……すっ、凄すぎる!?」
「ははっ、そう褒めるでない。最果てに居る灯台守の魔法使いが、こんなそばかす美人で驚いたか?」
えっ、そばかす。なんのことを言ってるんだ?
そうじゃなくって、そんなことひと言も触れてませんから。
「いえ、そんなこと一言も触れてませんし、そうじゃなくってですね。ウジャウジャと湧いてくる魔物を次から次へと消滅させてる先生に驚いているんです」
「ちっ、なんじゃ。そっちか」
いや、どう見てもそっちしか無いでしょう。それにそばかす美人って言われても、さっきから海の方を向かれているので、本当に美人なのかも分からないですし。
こう言うのもなんですけど、私も……結構美人だったりしますから、そうそう驚きはしませんよ。
後ろ姿はすらっとしてて、程よく肉の付いたお尻は確かに女である私にも魅力的にみえなくもないですが。今の時点だと、少しくせっ毛のある赤い髪のナイスなプロポーションだとしか分かりません。
それにしてもプリプリしてるのは、正直羨ましいです。私、お尻は安産型なので、脚が通常より短く見えるんですよね。
着ている服は至って普通で、特に高級そうな物は身に着けていない。ブーツも一般の魔宝具店にあるものの様にみえる。
……けど、
彼女が右手に持っているロッドはどう見ても普通じゃない。何故なら、あれは極限の魔法使いしか持つことの許されない冥王の杖だからだ。
いや、許されないと言うよりも持つことが不可能だと言われている。上級の魔法使いでも、あの杖の傍若無人に振り回されると聞いたことがある。
杖の頭には大きな無色透明の石が嵌め込まれ、その下に水、金、地、火、木、天の石が埋め込まれている。
つまりは、この世界の全ての属性の魔法をこの人は操ることが出来ることを意味している。
ゴクッ。
私は最強の魔法使いを目の前にして、思わず生唾を呑み込んでいた。
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