最果ての魔法使い

霧七夜 古都(ムナヤ コト)

第1話 どうして私が終末の断崖に?


何が悲しくて大陸の僻地へ行かなくちゃならないのか?

最初学園からそこが卒業前の研修地として言い渡された時、私は開いた口が塞がらなかった。


「ちょっと待って下さい、どうして私が終末の断崖へ行かなくてはならないのですか?」


終末の断崖、それはこのローレンス大陸の最北端に有ると言われる岬がそう呼ばれていた。


「ふむ、そうは言ってもね~~決まりだからね~~フレデリカくん、ふむ」


「学長、納得が行きません。私は今期で一番優秀な成績をおさめてる者ですよ。どうして、私は勇者パーティのお供が出来なくて、あんな寂しい僻地に飛ばされないと行けないんですか!?」


「ふむ、それは君が優秀故です。ふむ」


「優秀ならどうして?」


「ふむ、それが決まりだからです。ふむ」


くっ……また話が元に戻った。優秀だとなんで世界一安全な場所へ私を飛ばしたがるのかが理解出来ない。


卒業後は王国の第一騎士団と並ぶ聖杖の奇功師団への入団を確約されているこの私がどうして?


まさか……私は密かに先生方に嫌われているとか。いや、そんな嫌われるような憶えは(汗)


有り過ぎて頭が痛くなって来た。

いや、でもバレてないはず。


水の魔法使いのアフレシア先生の噴水を破壊しただとか、土の魔法使いのガルデニア先生の花壇の花を全焼させただとか、風の魔法使いのフリーシア先生の大事な鳥を一匹野に放っただとか、そんなこと何れもバレては居ないはずだ。


だって、誰にも見られていないのだから。


とにかく、一番優秀な私がそんなふざけた場所に行かされるだなんて納得が行かない。



「コードネル学園長、やっぱり納得が出来ません。アソコは最も魔物の出現が少なく安全な場所だと聞いています。実際、あの僻地から一番に近いルデリアと言う村は、データにも有りますように魔物の出現率は3パーセント以下です。そんな場所なら、私よりも学園最下位のロマシバッジョを行かせたらどうでしょうか?」


「ふむ、フレデリカくん、君の言いたい事は理解出来るのだが、もう決まったことだ。それに他の生徒はそれぞれの研修地へ既に出発していてね~~ふむ」


「いや……」


「それにあの場所は本当に優秀な生徒しか行かせられないのだよ、ふむ」


「えっ、それってどう言う……」


「ふむ、取り敢えず馬車は用意してあるので、それに乗って向かってくれたまえ、それではオルルヴォワーー、ふむ」


「いや、学園長……まだお話が……」


くっ……得意の空間魔法で玄関へと飛ばされてしまった。


学園長って、本当に一体全体何者なのだろうか?


彼がエルフと獣人のハーフだってことは、見た目からでも想像がつく。エルフ特有の尖った耳、金色でアーモンドの形の瞳に、鋭い牙が4本、噂では虎の血を引いているとかいないとか、獅子だって言う人も居るので定かではない。


そして何より元聖杖の奇功師団の初代隊長であり、噂によると創設したのも彼だと聞いている。


「はあ……嫌だけど行くしかないか」


逆らって行かなければ卒業は出来ない。最後の研修地はイコール最終試験会場でも有るからだ。学園側から予めそこに勤務している魔法使いに試験合格のローブを渡されている。


つまりそれを試験監督である魔法使いから受け取らないことには、私は卒業も出来ないし、聖杖の奇功師団の入団も出来なくなる。


此処から僻地まで馬車だと……二週間はかかる。風の魔法を使えばその約半分の一週間で到着出来る。


「よしっ、飛んで行こう」


━ブルーインパルス━


私は天王星と言う星からこの星に落ちた風晶をロッドへ嵌めると空飛ぶ魔法を唱える。


「うん、いつ見ても綺麗」


背中を見ると、半透明で青みがかった翼が現れる。

まるで天使になった気分。


「さて、飛びますか」


「待った待った待ったーーーー!? そこの御方待たれよ」


「?」

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