感情(短歌)

ヤマシタ アキヒロ

感情(短歌)

寂しさを

たとえて言えば

軒下で

雨のしずくを

見つめ居るとき


うれしさを

たとえて言えば

飼い犬の

あるじの姿

見つけ居るとき


くやしさを

たとえて言えば

わが丈を

低く見られし

背くらべのとき


楽しさを

たとえて言えば

遠足を

あすに控えた

子らの見る夢


悲しさを

たとえて言えば

ひび割れた

茶碗の欠片

拾い寄する日


空しさを

たとえて言えば

夜もすがら

同じ憂いを

くり返すとき


いとしさを

たとえて言えば

わが胸に

汝が笑みを

浮かべ居るとき


苦しさを

たとえて言えば

わが恋の

汝が意に染まぬ

ことを知るとき


感情の

変わりやすさは

雲の色

君が心に

七色の虹


ときどきは

映して見せよ

鬼の顔

仏の如く

鏡よ鏡


    (了)

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感情(短歌) ヤマシタ アキヒロ @09063499480

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