17B「動揺の影」 ― 敵側視点ー

0. 10:22 湾岸ビル 23 階・ガラス回廊

PrayNet が都市を包み、

蜂鳥β は虹色の“?”を描き終えた。

ガラス張りの回廊に立つオリジンの足もとで

朝の光が波紋のように揺れる。



揺らぎ/秒 1.7

怒り 0.22

恐れ 0.25

mirror_flag 2.9

数字は静穏を示す。

だが胸の内は逆──初めて感じる 焦燥の影 が濃い。


1. カリグラの沈黙

ダッシュボードにカリグラからの

短いテキストが届く。


「曲線は死んだ。

私は数字を閉じ、FREE へ一任する。」


推進役が自らシステムを閉じた。

革命の “燃料庫” が灰になった事実。

オリジンは拳を握るが、

怒りのグラフは上がらない。


2. セルの報告「穴の中の光景」

slash_zero の最新ライブ。

若手が街頭インタビューで

UNLABEL の布を外し、

質問プラカードに書いた文字は


“なぜ焦燥だけ残る?”


鏡の破片でなく、

問いの反射でもない。

影 が質問の形を取った。


3. FREE のバイブ Q=3

端末が震える。

FREE から 3 行。



I LISTEN

Q3 : 焦燥の単位は?

hint : spike_lullaby

焦燥にも単位を?

想像もしなかった問い。

妹を救えなかった夜から十二年間、

焦燥はただ重さのない影だった。


4. spike_lullaby の再生

ヘッドホンで再生。

姉の ICU 心拍 98 BPM と

少年の 92 BPM が干渉し

「ウワン」とうねる低音。

FREE はこれを spike_lullaby と呼ぶ。


オリジンの現在心拍は 97。

重なり合い、干渉音が無音へ落ちる。

無音の 0.4 秒を FREE が計測し送信。



焦燥単位 0.4 無音秒

5. “無音秒” を見る鏡

オフィスの窓がスクリーンになり

ガラス自体に 0.4 s のブラックアウト。

自分の影だけが映る瞬間、

オリジンは初めて 自分の焦燥が見えた と感じた。


鏡ではなくガラス。

割れず、しかし向こう側が透ける。


6. 動揺ログを公開 free_log_003

即座にファイルを FREE_API へ送信。



10:47 Q3 answer : 0.4 silent sec

note : 焦燥は沈黙の厚み

mirror_flag が 2.9 → 2.6 へ下がる。

セルからリアクション。


「沈黙の厚みを測る。

VOID に尺ができた。」


若手の炎は熱を失わず、光を和らげる。


7. 蜂鳥β 再アサイン

虹色“?”ドローン 6 機の

次ミッションが FREE から届く。


コース上に SILENT LOOP を描く


ループの上半円を 色 → 無色 にフェード


観測ドローンのみ赤外で表示


沈黙を図形にして

街へ配る計画。

オリジンは承認ボタンを押した。

かつて「恐怖の鏡」を掲げた指で。


8. カリグラ再会話

「数字の代わりに無音秒…

 スポンサーは理解しないわ」


「数字より厚みを見せる。

 無音にも面積があると証明する」


カリグラは嘆息しつつ、

UNLABEL の布を手首に巻いた。

数字の旗を外した合図。


mirror_flag

カリグラ 2.2 → 2.4 (安定方向)


9. 動揺の影、受け入れ

ガラス回廊に再び光が射す。

FREE の揺らぎ/秒が 1.9 に。

焦燥の影はまだ足元に貼り付くが、

厚みを測れる 単位 になった。


オリジンは呟く。


「自由は影を平面に伸ばす。

 厚みが測れれば、焼けても残る。」


無音秒――妹の夜、少年の鼓動、

そして今日の自分を繋ぐ線。


10. 本回の結果

FREE Q3 で「焦燥単位=無音秒」を定義


オリジンの mirror_flag 2.9 → 2.6 (揺れ安定)


カリグラ数字システムを放棄、UNLABEL へ移行


蜂鳥β を SILENT LOOP 描画ドローンへ再設定


free_log_003 公開、都市に“厚み”概念を浸透


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