第8話 ある日の昼休み 図書室で

「何してるんだい結香さん」

「……辞書を読んでいるんです」

「そうかい」




「「…………」」




「どうして辞書なんだい」

「……頭が良くなる気がするからです」

「そうかい」




「「…………」」




「読んでいて頭が良くなっているかい」

「……言葉の意味は知れました」

「そうかい」




「「…………」」




「それは「辞書は……」」


「「…………」」


「辞書は……なんだい結香さん」


「……辞書は新しい脳なんです。読むことで新しいことを知って、それを自分のものにする。そうしていくことで脳がどんどん新しくなっていくんです」

「そうかい」






「見て見てー! 子供の頃に読んだ絵本あったよ!」

「「光さん」ちゃん」


「私この絵本好きなんだー!」




「「…………」」




「「図書室ではお静かに」」




─────────────────────


紫月結香しげつゆいか

静かな空間で本がめくれる音が好き


音鳴おとなきメイ

話し声はどこまでのボリュームにしていいかいつも迷う


光流こうなひかり

ごめんなさい

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