二十二話 円卓会議 其の壱
円卓会議、それは各国の
始まりと同時に真っ先に手を挙げたのは
「とりあえず、今回の【
アルマンダインは指にはめてある指輪の一つを触りながら
「ツカサに関しては検察庁に全て一存されてる。アイツは俺が責任を持つ。だから、そこは今、議論する場所じゃないだろう」
「それで《ああ、分かりました、はい、そうですね》とはならねえんだよ。
アルマンダインの言葉に
「アルマンダイン、そこまでにしてくれ。ホシナミ・ツカサを何日か放置したのは私の判断で、ノアにも協力してもらって情報統制を行わなかった」
「責めるなら
技術庁局長サー・アルマンダイン、彼はその見た目とは裏腹に徹底的な管理と人事采配、そして、現代が持つ最新技術を存分に【
また、技術庁の人間達からも多くの信頼を寄せられ、円卓会議の中で最も常識人である。
真っ当な怒りを向けるアルマンダインの横でゆっくりとお茶を飲みながら、戦務庁長官ヴァルキュリア・ヴォーダインは彼の話に耳を傾けた。
(相変わらず、アルマンダインは真面目だ。激務と残業で気狂いそうなのに、あんなに元気なの凄い。私の意見としてはぶっちゃけ、面白いから、ツカサくんは放置してもいいと思うんだけどね)
ヴァルキュリアはそんなことを考えているとアルマンダインの矛先が彼女に向いた。
「ヴァル姉さん、アンタの意見が聞きたい。ホシナミ・ツカサへの罰、これは必要か?」
「んー、面白い、と思う」
ヴァルキュリアが面白いと言う時、その勘は大体当たる。
第六感の盲信などアルマンダインは行わないが、ヴァルキュリアのその勘は信用に値する物として、考えていた。
「チッ、そうか。この時点で俺の意見は通らなそうだな。ノアは
「んー、僕はどっちかって言うと中立かな。アルマンダインの言ってることも分かるんだけど、ホシナミ・ツカサの配信での活躍を見て、罰を与えたメリットデメリットを考えたらデメリットの方が大きい。かと言って、君の意見を無碍にするほど僕も責任を担う者として間違っている。だから、どちらにも肩入れするし、どちらにもつかないことに徹しようかな」
アルマンダインの目をハッキリと見ながらWDG外事庁長官アダム・カルデアスは応えた。着崩しながら制服を着用する者が多い中、しっかりとスーツを着こなしており、彼らの中でも真面目さが際立っている。
外事庁は各国とのやり取りや、検察庁と手を組み、【
「俺は自分の意見は曲げない。だが、こんだけの人間が評価し、【特例】を認めている事実を認めないってのは道理じゃない。悔しいが、お前達の【特例】を今回は認める。が、しかしだ。俺の条件を満たしてもらう。それでいいか?
ここまでのやり取りでアルマンダインは納得は行っていないものの自身の意見のみを押し通す、そんな場を乱すことは意味がないと判断していた。
故に、自身が納得できる条件を満たせるかで自分の気持ちに折り合いをつけようとし、その合否を
「アルマンダイン、君の出す条件をホシナミ・ツカサに科すことを認める。君が納得してくれるか否かで話が多く変わるから君からそういった意見を出してくれて助かった」
「チッ、そんな世辞は良い。次の議題に入ろう。今回は【魔女】の信徒について話すんだろう。悪かったな、話のコシを折って」
アルマンダインがそう言うと
そして、その会議を進めるために
「それじゃあ、本題に入ろうか。【魔女】の信徒についてだ。動画には目を通してると思うが、あれは自身のことをアルコーンと呼んだ。これから奴のことをアルコーンと呼称する」
「動画、ありゃ規制するんじゃなかったのか? 【魔女】に関する情報は原則規制するとしていたはずだろう」
アルマンダインの言葉に円卓に置かれていた端末の画面が光るとそこに映った水色の髪を両側に分けて結びながら学ランの様な物に身を包んだ
「それねー。私も規制しようとしたんだけど、
「『博士』だと? 何で違反者なんかが『博士』なんて知っていやがる?」
「分かんない。でも、WDG成立直後に作られた
ノアが音声を聞き、アルマンダインはまた、ツカサに対しての疑念が強まるもその流れを一旦、断ち切るために
「まぁ、それは一旦、置いといて、今回の【魔女】の信徒の出現で彼らの尻尾をようやく掴めた。本部総長が【副都心
その言葉で空気が一気にヒリつくと最も雰囲気が変わったのは
「本当か?
「ああ、本当だ。本部総長から送られてきたデータを参考に過去に会った二人の信徒と今回、新宿内でのアルコーンのデータを重ねた結果だ。十階層以降は【魔女】の信徒が持っているエネルギーが濃くなっている。仮称で【魔力】と呼ぶんだけど、新宿以外はこれが十階層以下で濃くなる」
それを聞き、
「
それはヴァルキュリアなりの優しさであった。この円卓の中で
ヴァルキュリアに気を遣われていることに
「ヴァル姉、すまない。冷静さに欠けた」
「ん、いいよ。
「ありがとう、ヴァルキュリア。それじゃ、話を戻すね。その【魔力】を追って、【魔女】の信徒を狩る。それについて、これから話して行きたい」
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