第4話 捲簾大将・沙悟浄
吾輩は捲簾大将
沙悟浄は玄奘三蔵があなたが弟子になった時に与えた名前。
もとは天界の官吏であったが些細な不始末で天界を追われ
ゴビ砂漠で旅人を襲っていましたが三蔵法師一行に退けられ
仏教に帰依した次第。
一番弟子の孫悟空は主に警護、猪八戒はその懐に入る人たらしの才で交渉役
にあたっており、奥ゆかしい吾輩は荷物持ちの任に甘んじておる。
しかし主計、帳簿付けは浪費癖のある二人には任せておけないと師匠の三蔵
からの労いの言葉もありなんとか耐えておった。
四番弟子の玉龍は師匠の馬になっているが元々は竜宮の御曹司であるため
貴方の買い出しや雑事の申しつけにものらりくらりとかわす事が多い困り者
「師匠を四六時中背中に負ぶっているのだから多少の苦役は勘弁」
とうそぶいている。
馬だけに馬耳東風か・・・
天竺に近い国境で五番弟子の那托と出会う。
なかなかの難敵ではあったが悟空の妖術合戦に負け弟子になった。
こいつは数千年生きている大妖怪なのですが見た目が子供ですので
甘えられるとついつい大目にみてしまうのである。南無。
暫時
「起きよ捲簾大将!いや沙悟浄というべきか?」
「誰だ吾輩の名を呼ぶやつは!」
「我は天界の使者、大日如来の権現なり」
「そんなこと信じられるか!!吾輩の頭の中から出ていけ!」
「沙悟浄よ、お主は長安に着いてどうする?孫悟空は三蔵の一番のお気に入り。
そのまま弟子として残るか華崋山の王に戻るだろう。天蓬元帥は
元々は天界の官吏、その職に戻ることを期待されておる。西海竜王は竜宮の
王族、その任を解かれれば故郷に戻るだろう。だがお前はどうだ?
砂漠にて多数の人を喰った悪鬼羅刹と知れれば師匠の玄奘まで類が及ぶ
こと間違いなし!」
「うるさい、うるさい、お師匠はそこらへんのことは考えてくださるわ!」
「どうかな?近頃の長安は仏法の乱れ甚だしく、天下は麻布のように乱れておる。
三蔵はよくても長安の人間は誰もお前を赦しはしまい。三蔵も心を痛めるぞ…」
「そこでだ、我は提案する。第三の門、金行(風行)の試練を受けよ。
そして我に従え。案ずるな、三蔵と高弟達の命まではとらん。わが天帝に誓い
約束する」
「お師匠を裏切ることなんかできるかよ!」
「三蔵はもう現世にはいない。残念だがそうなのだ。万に一つの可能性はな
お前たちが三蔵の苦行を邪魔しないことだ。多くは語らんがこれは真実なのだ」
「それが本当なら吾輩に何の得があるんだ?」
「お前は三蔵のために自分の身と名を捨てる気概があるか?
三蔵の覇業を続ける気概があるのか?
それが報酬といえば報酬だ。それとも天界に昇り捲簾大将より高い地位を望むか
それもよかろう。」
「話はそれだけか?」
「それだけだ、この話の概要は忘れるが、命令は心に刻まれておる。
途中までは操り人形だが、最後の最後には自由意志をくれてやる。
これはなんだっけ、おまえらのいう、御仏の慈悲よ、では眠れ」
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