第2話: こっくりさん
父とその妹の旦那さん、つまりおじさんは、時々、こっくりさんをしていた。
そう何回も見たわけでもないし、何を占っていたのかなんて全くわからない。そもそも私はそんなに興味がなかった。
娘は興味津々で聞いてくる。小学生だ。学校ではやっているのかも知れない。
「ねえ、学校でこっくりさんしてるの?」
「このあいだ、放課後にしていたら先生から怒られた。早く帰りなさい、って。そのときに、こっくりさんは休み時間でもしちゃだめだ、って言われた」
でしょうね。
コックリさんなんて、そんなに簡単にできるものじゃないでしょ。
父とおじさんは、鳥居を建ててしていた。そして、お供えに油揚げを供えて箸を置いて。そして、たしか『お狐様』と呼んでいたはずだ。
本当によく覚えていないのだけれど、多分一通りの儀式が終わったのだろう、父とおじさんがお礼を述べて・・・。
その時に箸が動いたのだ。
いま考えればとんでもない超常現象だけれど、その時は何も思わなかった。あ、お箸が動いた。そのくらい。
でも、こっくりさんについては、なかなか帰ってくれなくて困った、と聞いたことがある。父ではなかったかもしれないけれど。それに、帰ってもらうことに失敗したら憑りつかれるんじゃなかったっけ。呪われるんだっけ?
だから、学校の先生がこっくりさんをしてはいけない、というのは凄くわかる。
「春子。こっくりさんは遊びでしていいものじゃないからね。おじいちゃんたちがするときは、鳥居を建ててお供え物を準備してたくらいだから。お狐様は怖いよ」
「!! お狐様が聞いてたら怒るんじゃないの?わかった、もうしない」
オカルト好きなだけあって、呪いがかかる、なんて言葉は効果てきめんだ。
学校でするコックリさんは10円玉を使うだけで、誰かが意図して動かしたりしているのだろうけれど、あのときは本当にお箸が動いたからなあ。
それから数年後、どこかの学校でこっくりさんをしていた子たちの様子がおかしくなって、集団ヒステリーがどうのこうの、ってニュースになっていた。どちらにしても、うちの子じゃ無くて良かったけれど。
本当に集団ヒステリーだったのか、お狐様の仕業だったのか・・・。
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