第16話 文化祭(本番編③)

 僕はしばらく廊下を歩いていた。そしたら目の前にプラカードを持った武史先輩がいた。


「おぉっ淳志やないか」


「先輩先ほどぶりですね。どうしたんですか?」


「あぁほら、前会長たちが文化祭で劇やるって言ったやんけ。その客引きや」


「はぁでも確か武史先輩って会長とクラス別じゃなかったでしたっけ?」


「そうやぞ……だがな!優香の奴が勝手にワイに押し付けやがったんや。あのドアホウボーイッシュ女が……何が『僕は少しお花を摘みに行ってくるから』や。ただただワイに押し付けたかっただけやろ!」


 武史先輩はそう言うと歯ぎしりをしながら手に持っているプラカードを強く握りしめていた。


「は、はぁ武史先輩も大変ですね……」


「せやろ?そうや淳志も手伝えや。それで劇も身に行けや。会長も優香も喜ぶで~もしかしたら優香の嬉ションも見れるかもしれんなぁ~ニヒヒ」


 怖い人だ。というかいつも通り悪い顔をして笑っている。僕この先輩のそういうところ苦手なんだよなぁ……悪い人じゃないけど。



 僕がそう思っていると先輩の後ろに見知った顔があった。


「ふ~ん。誰が嬉ションするのか教えてもらおうか?武史」


「あっ優香先輩!」


「ゆ、優香……」


 優香先輩は武史先輩を鋭い目で睨んでいた。


「あ、あの……優香先輩」


 僕は恐る恐る優香先輩に話しかけると優香先輩は笑顔で僕を見た。


「やぁ淳志くん。文化祭楽しんでるかい?このドアホウは置いておいてね」


 そう言って僕の頭をワシャワシャ撫でてくる。


「ゆ、優香さん……や、やめてよ」


「ふふふ~可愛いなぁ淳志くんは」


 それを見て武史先輩は。


「な、なんや優香の奴。淳志にだけデレやがって!」


「ん?何か言ったかい?武史?」


「い、いや……な、なんでもないで。それよりもどこ行くんや?」


「あぁ占い研究会に行こうと思ってね。淳志君も行くかい?」


「は、はい」


 僕は武史先輩と優香さんに連れられてオカルト研究会に行った。




 そこには光士郎と仁木さんが並んでいた。


「フハハハハ!これはこれは海城淳志よ!よく当ダークアビリティ日本支部にやって来たな!」


「何を言ってるんですか光士郎さん。ここはオカルト研究部。またの名を闇の降霊術研究会では……」


 相変わらずどちらもスピリチュアル系だ。


「まぁまぁ二人とも。占ってくれるかい?」


「え、えぇでは私が淳志君を担当するので光士郎さんはそちらのお二人を」


「フハハ!それはちょっとダメだろう。仁木ただお前が淳志と触れ合いたいだけ……ぎゃふ!お前股間を踏むでないぞ!」


「はいはい。では淳志君。占いますよ」


「はい!」


 それから僕は仁木さんに占ってもらった。


「淳志君の背後霊はですね……基本的に前に言ったのと変わらないんですけど……荒ぶってますねぇ……」


「さ、さっき優香さんに頭撫でられたからですか?」


「は?それはズル……じゃなくてそれですね。女難の相が出てますね。それで運勢なんですが……」


 仁木さんはトランプを持ってくる。


「引いてください」


 僕が引くとそこには巨大なリングの絵があった。


「あ、これは『運命の輪』ですね……正位置で急激な変化を示します。それで淳志君、最近何かありましたか?」


「な、何かですか?……うーん」


「些細なことでもいいですよ。あ、後ろにいる背後霊を何とかしてくれってのはやめてください。女幽霊の嫉妬は私の手には余ります……」


 そう言って仁木さんはニコっと微笑んだ。


「いえ特にないですけど……」


「ふぅん…特にないんですか。光士郎さんそっちはどうですか?」


「あぁ今生年月日の奴やってるよ」


 光士郎は先輩たちから生年月日などを聞いていた。


「細かい情報などはいいんだが…ふむふむ。フハハハハ!これは傑作だ武史先輩と優香先輩のカップル相性は99パーセントだと!フハハ!これは興味深い。仲が悪いとは聞いていたがやはり喧嘩するほど仲がいいと」


「「ブフォ~」」


 二人は泡を吹いて倒れた。


「こ、光士郎それはホントなんやろな……何で俺がこのデカ女と」


「ぼ、僕だってこの似非関西人とはお似合いだとは思わないね……」


 二人は慌てて否定するがその焦り様……どうも脈があるような……


「仁木さん。あれって……」


「きっと互いに想いあってますね……本当に羨ましいことです……」


「なら僕も応援しようかな……」


 そう言って僕は歩いて行った。


「ま、まぁ二人とも結婚式には呼んでくださいね!僕たちも余興考えておくので!後啓馬と晃も呼びますね!」


「「だから違うって!」」


 二人は口を揃えてそう否定した。やっぱり気があってるじゃん。僕はそう思った。

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