第11話 ザルヴァ=カイロス
夜が深まる。金井神社は冷たい風に包まれ、満月が社の屋根を銀色に照らしていた。神社の奥、封じられた鏡の前に黒き修道会の信徒たちが集い、儀式の準備を進めていた。
鳥居をくぐった裕政たちは、社殿の前で待ち受けていた中ボスと相まみえる。漆黒の鎧に身を包み、右腕に禍々しい魔剣を携えたその男の名はザルヴァ=カイロス。元は小金井郵便局に勤めていたが、魔に魅入られし者である。
「小金井の地を穢す者どもよ。我が主の復活を阻むなど――浅はかなる愚行!」
ザルヴァが振り下ろした魔剣が地を裂き、炎の亀裂が参道を駆け上がる。ソノミが結界を張り、カリユが魔法陣を描く。
「黒雷よ、我が杖に宿りて敵を穿て――グラビド・インフェルノ!」
一瞬で空が裂け、雷がザルヴァに落ちる。しかし中ボスは怯まない。魔剣を盾のように掲げながら、タイソウに突進する。
「エンジ、側面だ!カリユ、援護!」
「了解!」
エンジとカリユが連携し、炎と風の刃がザルヴァを貫く。
最後に、裕政が正面から斬りかかる。
「ここで終わらせる――小金井は、お前のものじゃない!」
ザルヴァの魔剣が折れ、爆発とともに姿を消す。神社の鏡は静けさを取り戻し、闇の波動は消え去った。
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翌朝。戦いで疲れた一行は、小山駅を目指して徒歩で北へ進む。
途中、夢庵で朝食を取りながら静かなひとときを過ごす。ダイソーの前を通り、国分寺図書館の角を曲がる頃には、朝焼けが小山車両センターの鉄路を黄金に染めていた。
「次は本当の戦いが始まる。駅を越えた先に、“魔王城”があるとしたら…」
誰かが呟き、仲間たちは静かにうなずく。
彼らの旅は、まだ始まったばかりだった――。
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