第2章:鋼の力、試される覚醒
ケイの起動テストが始まった。
ケイの力がどこまで発揮できるのか未知数であるが、地下研究施設の広大な演習場を用意してそこで模擬演習をすることになったのだ。
広さはおそよ総面積で16000haという広さで周りに住宅街などは存在しておらず、
ここであればケイの戦闘能力を思う存分発揮することが可能と判断し、琢己が中央機関に指示し、作らせた広大なエリアである。
琢己は腕組みをしてモニターを見つめる。演習場の周囲は特殊合金で作られており、戦車砲の直撃にも耐えうる構造だ。それでも、ケイの力にどこまで耐えられるかは未知数だった。
「では、戦闘モードを起動しろ」
琢己の指示を受け、ケイの虹色の瞳が鋭く光る。
「了解、”マスター”」
琢己は静かに息を呑んだ。
そこに立つTYPE-MK7――ケイの肉体は、神の造形を凌駕する完全体だった。
プラチナゴールドの髪、虹色の双眸。そして何より、視線を離せなかったのは鍛え抜かれた肉体である。
張り詰めた三角筋から隆起する上腕二頭筋、広く厚い胸板、8つに割れた鋼鉄の腹筋、鉄鋼のように引き締まりながらもしなやかな大腿四頭筋とハムストリングス。ふくらはぎや足の腱まで無駄のない滑らかな流線を描く。
(……まるで造形の極致であり官能の暴力だ……)
琢己の喉が熱を持ち、白衣の内側で微かに昂ぶり始める己の熱に気づいた。
「戦闘モード、起動開始」
ケイの肉体がわずかに震えた瞬間、広背筋と僧帽筋が波打ち、腹斜筋が滑らかに浮き出す。
臀部と大腿の筋肉が呼吸するように膨張と収縮を繰り返し、躯体全体が生き物のように艶やかに蠢いた。
ギィィィィン……
肘から滴るように伸びる青白いビームブレードが柔らかく伸びる。
前腕から指先までの筋線維が硬く隆起し、腕全体が妖しく脈動する。
ケイは一歩前進し、硬い臀部が豊かに持ち上がり、大腿とふくらはぎが絞られた絹のようなカーブを描いた。
(・・・蠱惑的なカーブだな)
琢己の視線はケイの勇姿に釘付けだった。
目の前に設置された100センチ厚の鋼鉄ブロックを無駄な動きを一切せず、一歩踏み込んで拳を突き出した。
次の瞬間、凄まじい轟音と同時に衝撃波を放つ拳が炸裂する。
ドォン!!!
鋼鉄ブロックが粉々に砕け散り、細かい破片が辺りに飛び散る。琢己は思わず息をのんだ。
(想定通り……いや、それ以上だ)
虹色の光と金属の破片が弧を描き、琢己の興奮の熱は抑えがたいものへと変わっていった。
蹴りの瞬間には臀部と大腿の筋肉が暴力的に膨張し、ケイを攻撃しようとする戦車10両を粉砕する衝撃が床を砕いた。鉄の塊がまるで紙のようにあっけなく吹き飛んでいくその様は神々しい。
「次は……ウラヌスとネプチューンとの同期だ」
琢己の声が震えを帯びた。
ケイの瞳が一瞬輝きを増し、同時に頭部の通信ユニットが活性化する。
《ウラヌス、ネプチューン――接続開始》
首筋の動脈ケーブルが脈動し、広背筋・胸筋が美しく波打つ。
ケイの虹色の瞳がさらに深く光を増した瞬間、宇宙空間の漂う人工衛星もとい「攻撃システムと防除システム」を備えた人工衛星ー通称“ウラヌス”と“ネプチューン”との完全同期が完了した。
《ウラヌス――天の槍、発射準備》
ウラヌスはタングステンやチタン、ウランからなる全長10メートル、直径30センチメートル、重量100kgの合成金属から造られた硬質な槍を地球のどこへでも3秒以内に撃ち落とす大量破壊兵器だ。
その照準が完全にケイの眼球のモニターと一体化する。
ケイの声が低く響いた直後、頭上から轟音とともに“天の一撃”が凄まじい速度で降下し、大地を貫く。
ズオオオオン!!!!
空間を裂いて突き刺さった光の槍が、敵機群の中央を直撃し、100機の戦闘機は一瞬で爆裂し、金属片と炎が四方に飛び散り、空は眩い閃光と衝撃波に包まれた。
立て続けに500機のドローン兵器がケイを包囲する。ケイは微動だにせず、広い背筋と腕の筋肉が静かに収束するように緊張した。
「全方位殲滅、開始」
両腕に格納されている機関砲ーGAU-8 アヴェンジャーが手のひらから迫り出すと、肩から上腕・前腕へと反動に応じた筋肉のさざ波が連鎖的に広がった。
バババババ!!!
3,900発/分の30mm砲弾が空を裂き、ドローン群を炎と金属片の雨に変えた。
琢己は射撃のたびに震える前腕の筋肉の緊張と弛緩の反復に陶酔した。
(……こんなにも機械の肉体の動きに“色気”が宿るとは……)
その瞬間、琢己の股間がぴくりと反応した。
(……ああ……違う……なのに……)
抑えきれない熱と圧迫感が白衣の下で膨らみ始めていた。
硬く張り詰め、衣服の内側で主張する自分自身に、琢己は絶望と陶酔が混じった吐息を漏らした。
続けて、ケイは静かに告げた。
「ネプチューン、防御モード展開――全方位防御システム起動」
瞬時に深海のように冷たく荘厳な翠色の光が演習場全体に広がった。
ケイの背後の大気が翠玉の波紋のように揺れ、上空ではエメラルドの環状光輪がゆっくりと現れた。
人工衛星防御システムである“ネプチューン”がケイと完全リンクした合図だった。
翠色の光線が螺旋を描きながらケイのボディを包み込み、その内部では低く重く唸るような振動音が鈍く広がる。
ケイの広背筋と大胸筋がそのエネルギー波に共鳴するかのようにわずかにうねり、筋線維の1本1本が艶やかな輝きを放ちながら緊張と弛緩を繰り返す。
(……まるで神の息吹のようだ……)
琢己は呆然とした。翠色の輝きは冷たい静謐と圧倒的な威厳を兼ね備えていた。
バシュッ!!!
ケイを中心に半透明の翠色の球体が展開される。
それは結界のように輝きながら360度全方位を完全に封鎖した。
直後、警報音が演習場上空に鳴り響く。
100機の仮想戦闘機が空間に投影され、超高速で侵攻開始する。
多方面からおびただしい数のレーザー砲が四方八方からケイを襲ってきたのだ。
ピシィィィン!!ピシィィィン!!
白銀の光線が次々とネプチューンのバリアに衝突し、水面のように波紋状の衝撃光が広がる。
だが、翠玉のシェルは微動だにせず、完全にすべての攻撃を無効化した。
琢己の興奮がさらに高まる。筋肉美と圧倒的防御性能が融合した瞬間だった。
ケイの腹筋・大腿筋・胸筋がわずかに躍動した。その動きすら神々しく、冷酷な美だった。
「防御、完璧だ」
静かに告げると同時に、ケイのボディ全体から翠色の閃光が走る。
肩・胸・背・脚部のパネルが次々と開かれるとエメラルドに覆われたレーザー砲が蜘蛛の巣状に組み上がり、それはまるで深海の怪物が牙を剥いたようである。
ズババババババ!!!
濃密な翠光の網の目が空間全体を覆い尽くし見事な深海に沈め込む。
100機の戦闘機は声も上げぬまま蒸発した。翠色の閃光と金属片の雨だけが空間に残り、やがて沈黙が訪れた。
琢己は立ち尽くしたまま、その光景に思わず息を飲み、下腹部に抑えがたい熱の奔流を感じていた。
(……これがTYPE-MK7……いや、“破壊と防御の究極神”……)
次は仮想都市エリアが展開され、大地から無数の超高層ビルが聳え立つ。
ケイは膝を折り、臀部・大腿四頭筋・ハムストリング・腓腹筋が生き物のように動き、跳躍の瞬間に大殿筋が爆発的に膨らみ、獣のような荒々しさと神の造形美を同時に体現した。
0.01秒後には100メートルまで跳躍し、2メートルのビームブレードを携えたケイが宙を切り裂く。
完璧な跳躍姿勢から、大空で展開された巨大なビームブレードが滑らかな広背筋と僧帽筋の連動によって操られ、高層ビル群は次々と極上の切れ味で細切れにされていく。
着地の瞬間、大腿・臀部・ふくらはぎの筋肉が衝撃を受け止めるように波打ち、地面には巨大なクレーターが刻まれた。
琢己は息を呑み、そして――白衣の下で完全に硬く膨張し、熱を持つ自身を持て余した。
背を向け、指を強く握りしめて震えを堪えた。
琢己は呼吸すら忘れ、顔を紅潮させた。
(……これがTYPE-MK7……破壊と官能の極致……)
(見るだけで身体の奥から熱が込み上げてくる……)
「ターゲット全滅、これが……俺の“完全武装”だ」
ケイは静かに呟いた。その声には、単なる機械兵器ではない、「完全たる征服者」たるものである。
虹色の瞳が再び琢己を見据えた。
その瞳に宿る征服者の王の冷酷な支配欲は、琢己の中に抗えぬ悦楽の震えを呼び起こした。
「氷室琢己……俺は、お前の最強の守護者であり――“破壊の化身”だ」
琢己は膝が崩れそうな自分を必死で支えた。抑えられぬ肉体の疼きが、彼の羞恥と興奮を極限まで押し上げていた。喉を鳴らしながらも、その光景から目を逸らせなかった。
(……この異形の神に抗うことなどできるはずもない……)
演習場の中央に、ケイは静かに、神性と獣性を併せ持つ究極の存在として立ち尽くしていた。
全宇宙の破壊と防御を統べる“最強の戦闘型アンドロイド”の姿が、今ここに完成した。
果たして、この力は人類の未来を守るものか――それとも、破滅へ導くものか。
琢己の心に重くのしかかる不安をよそに、ケイは静かに立ち尽くしていた。
あとに残るのは静寂、そして熱を帯びた琢己の背中に一筋の汗がたらりと落ちる。
それはどんな未来を暗示しているのかのようにポタリ、と地面に染み込んでいった。
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