想いでの海へ


早急なひとに ろくなのは居ないよと

親友に 聞いてたけれど

健人は どうやら 例外のようだった


大分 年が離れてるからか

唯をまるで 妹のように かわいがって

いつも いつも

なんだかんだ言っても

健人は 紳士だった


ふざけて ほっぺにキスとか

してきたけれど

それ以上は 求めたりは しない


付き合いだしてから

3ヶ月が過ぎたひ

健人は 唯を ドライブに 連れ出した

行き先は 内緒だった


心地よい 車の 乗り心地

お昼を食べたのも 手伝って

唯は ウトウト眠ってしまう


起きると

もう 目的地に到着していた


そこは

あの日に人でごった返していた

あの海


もうすっかり季節は

冬の装い


秋を共に過ごして

ひとつの季節を 越えていた


静まりかえった 海

あの日の海


さぁ 健人が

手を差し出す


唯が手を取る

2人歩き出した


寂しい気配の漂う

あおさをひそめた海


途中 大きな 水たまりがあった

健人は 腰を屈めて 合図する


おぶされ といっているのだ


いいよ

大丈夫だから


ここで明らかにしておく


唯は体育会系の175センチある

なかなか 体格がよい


かたや健人は

165センチ


そして痩せ型


唯を背負うのは 無理だと

判断したのだ


でも

健人は 半ば強引に

おんぶをする


しかも いとも軽く


こんなに細いのに

やっぱり 男のひとだな


そんなことをおもいながら

からだを預けた


おろしていいよ


唯が言っても

イヤだ と

いう健人


なんで


健人は 真剣な声で


俺の話を 背中で聞いてくれないか

そう言って


俺は緊張すると ゆでダコのように

なるから


おぼえのある唯は

そのまま 健人の話を 聞くことにした


一緒に 住まないか?

俺達


そう言った


付き合って 3ヶ月の

であった海で


北風が唯の髪の毛を 大きく揺らす


きっと今 健人の顔は

あのひと同じ 真っ赤だろう


唯の頬を 涙が流れる


健人の背中で

涙を ぬぐうようにして


胸にあふれる 想いを

確かめていた









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