迷子
「ど、どうしよう…。迷子になっちゃった…。」
私は来た道を引き返そうとしたが、スライムを追いかける時に曲がったり斜めに移動したりしていた為、道を殆ど忘れてしまっていた。
「うーん…、本当にどうしよう…。」
大鎌を両手で持ったまま、私はその場で立ち尽くしていた。
「取り敢えず、適当に歩いてみようかな…? 止まってたら、モンスターに会っちゃうかもしれないし……。」
さっきのスライムとの戦闘は、相手が逃げてくれたから良かったが、まだモンスターとの戦闘は不慣れな為、出来るだけ会いたくない。
「よしっ…。それじゃあ、こっちの方向に歩いてみよっかなぁ…?」
微かな記憶を頼りに、私は来た方向と思われる所を歩き始めた。
「それにしても……、物に触れた時の感触とか、さっき食べたハンバーガー?の味とか…。本当に、ゲームの中とは思えないなぁ…。」
今私が持っている
「それだけ、お父さん達が凄いって事なんだろうなぁ……。」
お父さん達は、本当に世界で一番尊敬出来る人だなと、私は改めて思った。
休みながら暫く歩いていると、私は洞窟?の様な物を見つけた。
「あれ…、もしかしてこれって、洞窟…!? 初めて見たや…!」
壁に空いている洞窟の様な空洞は、外からでは中が全く見えなかった。
「う、うわぁ…、とっても暗い……。私、暗いところって少し苦手なんだよなぁ……。」
洞窟の中に入らずに、このまま無視して森の中を歩いても良いのだが、私は生まれて初めて洞窟という物を見た為、少しだけ興奮してしまっていた。
「ま、まぁ…。ちょっとだけなら大丈夫だよね…? モンスターが居たら、すぐ引き返せば良いし……。」
理性よりも興味が勝ってしまった私は、洞窟の中に一歩足を踏み出した。
■
洞窟の中は、外より少し肌寒く、モンスターが出てくる様子も、今の所無かった。
「……さっきからある、この赤く光ってる石ってなんだろ…。」
洞窟の中には、所々赤色に輝く石があり、その石のお陰か、洞窟の中は外で見た時よりかなり明るくなっていた。
「赤色に光る石……、ルビー、とかかな…? うーん、分かんないや…。」
ルビーの様な光る石の明かりを頼りに、私は洞窟の中をゆっくりと進んだ。
「…? なんだろ、この匂い……。」
進んだ先には、道が左と右で分かれており、先程までは無かった鼻にツンと付くような匂いがした。
「けほっ、こほっ…! なんか、お魚さん見たいな匂いする…。」
小さい時にお母さんと買いに行った、お店で売られていたお魚さんと殆ど一緒の匂いが突然した為、少しだけむせてしまった。
「っ…、そろそろ、戻った方が良いよね…?」
まるで、『これ以上は進むな。』と身体が言っているかの様だった。私が、後ろを振り向いて来た道を引き返そうとした次の瞬間、足元が突然光った。
「ふぇっ…!? な、なにっ…!?」
突然の事で、私は光の上で固まってしまった。固まっていると、光は強みを増していき、次の瞬間……
「………ほぅ? どんな化け物が来たかと思えば、人の子とはな。ただの人の子が、この場所に彷徨うとは珍しい事もあるのう。」
椅子の片方の肘掛け?に頬杖をつきながら、もう片方の肘掛けに足を乗せて横になっている、高身長の紫色の目をしている女性が、そこに居た。
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