第2話 ドラマーアカネチャン

衝撃を受け教室で騒いでいると、急に小柄な女の子から耳打ちされた。名前は小山あかね。名の漢字はジャージにもどこにも書いてないからわからない。

「私、ドラムやってるから、がんばってバンド組もう。そしたら文化祭も出れるよ。」

脳天をつかれた。そういえば、この高校の文化祭はかなり融通が効くので、生徒なら外部バンドでも通らせてくれるかもしれない。

「わかった!私と手を組もうじゃん!」

連絡アプリを交換して、2人だけのグループを作った。「とりまバンド」という本当に直球なグループ名だ。


放課後、2人とも帰宅部なので一緒に帰ってみたら、とても話題が合っていて、先の生活が楽しみになった。あかねちゃんの知り合いにベースもいるらしいので、今度会わせてもらおう、ちょっと別物だけどギターを教えてもらおう、と勝手な妄想をして帰路についた。


夕飯を食べダラダラしていると、おじさんからメールがきて、「アンプはいいのを買った方がいい」と言われた。アンプ?何それ?という認識なので調べてみると、いっぱい種類があって正直よく分からなかった。

そのことをあかねちゃんに話すと、「今度の休日空いてるから楽器屋に行こう、ある程度ならわかるから。」と予定を立ててくれた。


当日になり楽器屋に集まると、あかねちゃんは結構なオシャレをしていて思わず感心した。予算は7万円だったが、アンプは3万円のものを買い、余ったので2万円のエフェクターを買い、そして弦高調整までもしてもらった。

あかねちゃんを家に連れ込み早速アンプとエフェクターを試してみると、今までのCDEFGABCがひどいと思えるほど音質が変わっていておじさんの言ったことはこういうことなのだと、自分の耳で感じた。あかねちゃんはずっとリズムを取っていてドラマーが出ていて面白い。


夜、私はあかねちゃんに「知り合いのベーシストに会わせてほしい!」と送ると、よく分からない無表情のキツネのスタンプが送られてきた。

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