12話目 きょうかいにいこう
あったかくて、ふわふわ。気持ちいい。これはおふとんだなぁってもぞもぞする。ふっと、いつもより温かいものが…温かくてついついすり寄っちゃう。
「ふふ…リラ、くすぐったいですよ…」
「ん〜…」
温かいのに頭をグリグリする。その時、声が聞こえてゆっくり目を開ける。そこには、リュイさまがいた…
「え…?」
「おはようございます。リラ」
その優しい声ときれいな顔にびっくりしてしまう。朝からまぶしい…
「おはよう…ございます。」
何とか声を出して挨拶をする。
「ふふ…びっくりしていますね…いつもは起きてる時間なんですが今日は少しゆっくりできるので起きるのを待っていたんですよ?昨日の夜は、リラが服を握っていましたしね…。」
リュイさまはにっこりしながら言った。服を掴んでた…いつの間に??
たくさんのぎもんに首を傾げたけどリュイさまが起き上がったのを見てまあ、いいかって思ってぼくも起き上がった。リュイさまがベルを鳴らすとすぐにサクさんが入ってきた。
「おはようございます。」
「おはよう。リラの支度を頼みます。」
「かしこまりました。」
リュイさまが僕の頭を撫でてっぺんにちゅってしてから離れていった。
「リラの支度が終わったら朝ごはんを一緒に食べましょうね?」
そう言ってお部屋からでていった。
それから、朝の準備をして一緒に朝ご飯を食べるとリュイさまはお城へと向かった。いつもはお屋敷でお仕事をしてるけど今日はお城に行かなくちゃいけないんだって…だから、お昼は一緒には食べれないって。ちょっとさみしい。でも、ザック先生のじゅぎょうもあるし、頑張らなきゃ…。
それから、数日後。ぼくの体の傷を魔法で治すときが来た。リーゼ先生がやって来てぼくに魔法をかける。ちょっと怖くてどきどきしたけど、リュイさまが手をぎゅって握っててくれたから頑張れた。
「では、魔法をかけていきます。痛いことは無いとは思いますがちょっと、傷に痒みのようなものがあるかもしれません。少し我慢してくださいね。それ以外に何かありましたら教えてください。」
リーゼ先生はそう言ってぼくの背中に手を当てた。背中はむちの傷とかやけどとかあったから多分きたないんだろうなぁって…でも、リーゼ先生が手を当てて魔法をかけるとなんだかぽかぽかする。それにちょっと、むずむず…ちょっとかゆい……それを我慢してると背中から手が離れて…
「はい。これで、背中は綺麗になりましたよ。」
とにっこりとしながら教えてくれた。それから、腕やお腹、足とか傷がたくさんあるところに魔法をかけてくれた。ひどいやけどをしていた手のひらもぴかぴかになった。
傷のない手をじっと見つめる。こんなに、傷がないのも久しぶりにみたかも…。
「リーゼ医ありがとうございます。」
「いいえ。傷を治すのにリラくんもよく頑張りました。すっかり治って良かったです。」
そうリュイさまとリーゼ先生が話をしているのを見つめる。
「リーゼ先生…」
「どうされました?」
「治してくれて、ありがとうございます。」
「えぇ、治って本当に良かったです。もし、気になることがありましたらいつでも言ってくださいね?」
リーゼ先生にお礼を言う。傷が治ったのを見てルイザさんもサクさんも嬉しそうにしてた。
そして、次の日。リュイさまがお休みの日。まちへお出かけすることになった。きょうかいに行くんだって。
「リラ様、今日のお洋服はこちらですわよ〜!」
ルイザさんが持ってきたのはいつも着る服よりもちょっと豪華な服。でも、ゆったりとしていて僕の好きな感じだった。
服を着て玄関に向かうとリュイさまが待っていた。
「あぁ、とってもよく似合ってますね。」
とニコニコしながら手を伸ばす。その手を握って…そばにいく。
「今日、魔法の属性がわかるんですか…?」
「えぇ、そうですよ?楽しみですね?」
話をしながら馬車に乗り込む。初めて乗る馬車…座席がふかふか。
「気持ちいい…」
「座り心地はどうですか?リラのために少し乗りやすいように座席を変えたんですよ。」
座席まで変えちゃうなんてびっくり。でも、ふかふかで気持ちいい。
馬車が出発して、まちが見えてくる。いろんなお店があってついつい、窓から見てしまう。いろんな人もいて歩いていたり、お店の前に出ていたり…とっても賑やか。いつか行ってみたいなぁ…って思いながらながめる。
「リラ…目がキラキラしていますね。時間があれば今日は街でお昼を食べましょうか?」
リュイさまがそう言ってくれた。まちでのご飯…!楽しみ。
窓から待ちを見続けているとあっという間にきょうかいへと着いた。
今日きょうかいに行くと知ったザック先生がきょうかいのことを教えてくれた。この国はシューティル教が1番大きいんだって。だから、鑑定に行くのもシューティル教のきょうかい。女神シューティルを信仰しているんだって。あんまり、興味無いからふーんとしか思わなかったけど…でも、そのあとの歴史のべんきょうは楽しかった。
着いたきょうかいはとっても大きくって見上げるほどだった。リュイさまと手を繋いで中に入るといろんな色のガラスが窓になっていて外からの光でキラキラしていた。思わず立ち止まってじっと見てしまう。その様子にリュイさまはクスクスと笑う。
「リラ。興味津々ですね…。鑑定が終わったらじっくり見る時間をあげますから、鑑定を先にしに行きましょう?」
そう促されて、また歩き出した。
礼拝堂に入ると人がいた。
「お待ちしておりました。リンデール侯爵様。鑑定の準備は整っております。」
「あぁ、ハイド司祭今日はお世話になります。この子、リラの鑑定にまいりました。」
「承りました。こちらへどうぞ…」
中にいたのはハイドしさいっていう人らしい。このきょうかいの人みたい。礼拝堂の奥に進むと大きな水晶玉があった。ハイドしさいがその前に立つ。
「さぁ、水晶玉の前に行っておいで…」
リュイさまに促されて水晶玉の前へ。
「では、水晶玉に手を当ててください。」
「はい…。」
どきどきしながら手を当てる。その瞬間、黒い光が部屋の中を覆った。
「こ、これは…!」
「おやおや…。」
びっくりして、水晶玉から手を離す。手を離したら黒い光もおさまっていった…なんだったんだろう……
そのまま固まっていると。
「鑑定の結果でございます。」
同じようにびっくりしてたハイドしさいが紙をぼくに渡してくる。まだ、むずかしくて読めない字もあったからリュイさまのところに持っていく。
「ふむ…なるほど。ハイド司祭、リラと2人にして頂いても?」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
ハイドしさいの案内で小さな部屋にやってきた。ハイドしさいは部屋から出て行ってリュイさまと2人になる。
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