Refer to!~ビンボーJK、学費のために本と戦います!~
根古谷四郎人
第1話
「あったぁあああ!」
畑のあぜ道で私は一人、歓喜の声を上げた。田んぼのあぜ道ではいつくばってる女子高生なんて絶対怪しいけど、それどころじゃない!だって、ここには、大量の土筆が生えている!
「やったね
ほくほく顔で取り出したビニール袋に土筆を次々放り込む。私は小学校の時からいつも、登下校の最中に食べられる草を採るようにしている。そうでもしないといけないくらい、うちは超貧乏なのだ。
我が家は私と両親、八歳の妹と三歳の弟の合わせて五人家族。両親が必死に働いても、家賃に水道に電気にと諸々払ったら、お金はほとんど残らない。それでも、両親は私を何とか高校に入れてくれた。いとこのお古の制服が使えるからという理由で選んだ高校だけど、後ろを山、周囲を田畑に囲まれた高校は、食べられる雑草の宝庫!
「だからついつい道草しちゃうんだよね、文字通り!」
土筆でいっぱいになった袋を自転車のカゴに入れた。この自転車も父さんのお古だから、なかなか年季は入っている。いつも最初の一歩が重いので、
「んっ、ふん!」
と、掛け声とともにペダルを踏み込む。だが今日は、ガチャン!ジャリ!という聞きなれない音がした。何だ?と思って自転車から降りると
「あーーー!?チェーンちぎれてるーーー!」
「大丈夫ですか?」
「ふぉおおおーーー!?」
突然声が降って来て、私はさらにびっくりした。同じ高校の男の子がいつの間にか後ろに立っていた。黒髪に黒い目、細めのメガネフレームも真っ黒。やや猫背気味だけど、多分背丈は180センチはある。
「び、びっくりした。あの、ここ通学路じゃないですよ?」
「それはこちらが言いたいですが。」
眉一つ動かさずに男の子は答えた。「田畑の間でポニーテールの方が倒れているように見えましたので確かめに来たのです。」
食べられる雑草を見逃すまいとあぜ道でほふく前進していたせいで、とんだ誤解を生んでしまったようだ。
「すみません、ご心配をおかけしました。私はこの通り大丈夫です!」
「ですが、急がないと遅刻しますよ。もうあと二十分で始業です。」
「二十分なら大丈夫です!早こぎには自信あります!」
元気に答えた私に、男の子は黙って私の自転車を指さす。ちぎれたチェーンが力なく地面に落ちている。
「……後ろ乗せてくれませんか?」
「自転車の二人乗りは違法です。それに壊れた自転車を置いていくわけにはいかないでしょう。」
ぐうの音も出ない。私が黙っていると、男の子はスマホを取り出して電話をかけ始めた。
「おはようございます。……はい。実は自転車が動かなくて困ってる生徒を見つけまして。車出してください。では。」
男の子はスマホを切ると、私に向きなおった。
「今先生に連絡しました。あと五分もしたら迎えに来てくれますよ。」
「先生!?そんな、先生に送ってもらうのはさすがに図々しいというか」
「初対面の僕に自転車乗せてくれっていうあなたもなかなかですよ。」
「う。」
「説明は省きますが、僕にはこの先生にわがままを聞いてもらう権利がありますので、気にする事はありません。パシりぐらい、何ともありませんよ。」
先生をパシってもいいってどんな事情?でも、男の子が話は終わりとばかりに単語帳を取り出して読み始めてしまい、訊くチャンスは無かった。
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