第16話|あんこもちと、遠くの未来
あんこの甘さと、ほんのり先に見える未来
「ねえ、あんこもち、食べたくない?」
日向が楓に向かって、ふとつぶやいた。
その言葉に楓は少し驚いた顔をしたけれど、すぐにほっとしたように微笑んだ。
「いいね、食べようか」
「うん、あのころみたいに」
そんな会話を交わしながら、ふたりで台所に向かう。
お正月の余韻を少しだけ残して、今日はあんこもちを作ることにした。
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今日のレシピ|あんこもち
材料(2人分)
* もち米(もち粉) … 150g
* 水 … 100ml
* こしあん … 100g
* きな粉 … 適量
* 砂糖(あんこに少し) … 小さじ2
* 塩 … 少々
* 片栗粉 … 適量(手にまぶす用)
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作り方
1. もち米を準備
もち米を水に30分浸し、ざるにあげておく。もし、もち粉を使う場合は、指示に従って水を加えて混ぜ、よくこねておく。
2. もちを蒸す
蒸し器に水を張り、もち米を入れて30〜40分蒸す。途中で水分が足りなくなることがあるので、少しずつ足しながら蒸し続ける。
もち米が透明感を帯びて、もっちりとしてきたら完成。
3. あんこを用意する
あんこに砂糖と塩を少々加えて、軽く温めながら混ぜる。
あんこの甘さが引き立ち、さらに食べやすくなる。
4. もちをつく
もちを蒸し終わったら、温かいうちに手でこねてついていく。少し冷めたら、片栗粉をまぶして、手にまとわりつかないようにする。
5. 仕上げ
あんこをもちの中に包み込んで、最後にきな粉をまぶせば、完成!
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あんこもちが出来上がったころ、ふたりはどこかしら落ち着いた気持ちになっていた。
楓が一口食べた瞬間、ほんのりとした甘さが広がり、優しく温かい気持ちになった。
「……こんなにシンプルなのに、なんでこんなに心が満たされるんだろう」
日向が少しぽつりとつぶやく。
「たぶん、あんこの甘さが心に染みるからじゃない?」
「それもあるけど、やっぱり、楓と一緒だからかな」
その一言に、楓はすっと息を飲み込みながらも、微笑んだ。
何も言わず、ただあんこもちを一口ずつ食べながら、ふたりの間に流れる時間を味わった。
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味の感想(by 日向)
もちのふわっとした感じと、あんこの甘さが絶妙に絡み合って、まるで心まで温まるみたい。
きな粉が香ばしくて、ほんのり塩気も効いてて、後味もすっきり。
「これって、ちょっと未来を感じる味かも」って、思ってしまった。
だって、何年先でも、この味をふたりで分け合って食べてる気がするから。
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ほんのり甘いあんこの味に包まれながら、ふたりは静かな時を過ごしていた。
未来のことなんて、今はまだわからないけれど――
こんな日がずっと続けばいいな、と心から思った。
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次回は「サンドイッチとレモネード(ピクニックの小さな手)」
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