あなたの知らないわたし、わたしの知らないあなた

（４）結香 - もっと上手に誘って

　今日もまた残業。今とりかかってている仕事、ようやく完了と思ったところで課長から追加の指示がきた。はじめからいってくれたらいいのに。ようやくひと区切りついた。帰ろうと思ったところで翔太さんに夕食に誘われた。まだ作業してるみたいだし来ないよね？、だって。なんてひどい誘い方なの。一緒に行って、ひとこと文句を言わせてもらうことにした。

　行き先はおすし屋さん。海鮮好きのわたしは大歓迎。翔太さんは慣れた様子で刺し身とお酒を注文している。わたしにも何か頼むかたずねてくれたけれど、全部翔太さんにおまかせした。

　一息ついたところで、翔太さんにひとこと文句をいった。誘うならもっと上手に誘ってくださいね、と。でも、今考えてみると、わたしの言い方はちょっときつかったかな。翔太さんはせきこんだあと、申し訳なさそうな表情をしていた。それでも、また誘ってもいいかな？と翔太さんにいわれた。うれしくて、ちょっとだけドキドキした。

（つづく）

（第２章「作品解説」）

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175639994320（CatGPTって、なに？）

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031