5日目
「みんなでピクニックにいかないか?」
パパが、いきなり言い始めたのは、パパが単身赴任を終えて帰ってから1週間程過ぎた
5月の終わりだった。
「ピクニック!?いいねー、行こう、行こう!」
うちのファザコン兼愚妹がすぐに答える。
「和博さん!ナイスアイディア!直ぐに有休取るわ!」
スマホで会社に電話しようとするママ。
「ママ、今日日曜だよ。会社、誰も居ないよ」
「ハッ!そうよね。ハハッ。あ、ありがとう、ハルカ!」
このボス猿だけは、なんでパパの事になると、こんなポンコツになるかな~。
「?、お姉ちゃん何やってるの?」
「ん?いやキャンプの用意をと…」
いつの間にか私の手にキャンプ道具が、
「まだ決まってないじゃん!しょうがないなー、お姉ちゃんは…」
何よ。私がヤバイ奴みたいじゃん…
ハイキングも来週の日曜日に決まり、今日はカナタと近くのスーパーに買い出しに。
「お姉ちゃん。お弁当には、やっぱりタコさんウィンナーでしょ。」
「チッチッ、わかってないなー、ピクニックのお弁当といえばハンバーグでしょ」
「ハルカ先輩、わたくしはサワラの西京漬けが好物なのですが」
「ギャーーッ☆✧★!!! あ、あんた、ユリア、何でいるのっ!?」
いきなり真後ろから声をかけられて、心臓飛び出るかと思った!
「嫌ですわ。ピクニックの買い物のお手伝いをと」
「な、何で知ってるの!?ま、まさか盗聴器?」
「わたくし、盗聴器等と言う下品な物は使いません。今は窓ガラスの振動で中の
情報が得られますので」
「そ、そんな機械使ったの?」
「ホホッ、冗談です。実は御義父様より、お誘いを受けまして。」
「パパが?」
するとカナタが、
「そういえば、パパに学校のことで色々してもらったって話ししたよ」
「ええ、御礼に一緒に行きませんか?と」
「そういう事ならしょうがないわね」
「そうです、そうです。費用はこちらで負担致しますので」
「えっ!?そういう訳にはいかないよ」
「先輩。お金と言う物は持てる者が出せば良いのです。何ならこのスーパーごと、…」
「いやっ!いいっ!う、うん、出してもらおう!その代わりあんまり高くない物で」
「じゃあ!お姉ちゃん、ユリアちゃん、みんなでお買い物だー!!」
「 「 「おーう!!」 」 」
なんか、お、と、う さま、に不穏なオーラかんじたんだけど……気の所為、よね?
そして瞬く間に週末がやって来た!
「やっぱり、ハイキングといえば、高尾山だね。」
「和博さんと行けるなら何処でもいいわ!」
「わたしも!」
うちのボス猿と愚妹はブレないなっ!
「でも高尾山なんて家から車で30分だよー。ピクニック感ないじゃん!」
「先輩。近くにあると中々に来ないでは有りませんか」
「そりゃそうだけど…」
「それはそうと、先輩。この自然を見て、何か詩想は浮かびませんか?」
「それは良い。パパはハルカの詩を聞いたことが無かったから聴かせてくれないか?」
「うーむ…」
陽は高く白く 雲は蒼の空に浮かび 5月の風を運ぶ
風のプリズムが キラキラ 水面に輝く
春の終わりを 夏の妖精が 告げてゆく
ざわざわ
ゆらゆら
山が 森が
この星が
生きている!
僕が
私が
愛すべき人たちが
この世界でいつまでも健やかに育まれ
その愛を
生命を
謳歌できるように
私は祈ろう
いつまでも
「凄いね。ハルカ。パパ、感動したよ!」
「先輩、また腕を上げられましたね」
「すごいよ、お姉ちゃん」
「本当。アンタそんなに文学少女だった?」
高尾山の登山道でそんな褒められても…… チョーウレシイ!!
「でも今日は人が少ないね」
パパに言われて気がついたけど、本当に少ない。
というか ………… いやいやっ、誰もいない!
私達だけ!?
「本当に。どうしたんでしょう。フシギデスワー ……… 」
ユリア ……… アンタなんかしたね。
おかしいでしょ!
大人気の高尾山で日曜日に誰もいないって!!
「お、お姉ちゃん。これ」
カナタが見せてきたスマホの画面には氷室財閥の高尾山一帯の買収のネットニュースが…
いやいや、ちがうちがう。何かの見間違いよ、まぼろしよ。そ、そうにきまってる。
「ま、まぁ、気を取り直してお弁当にしよう!」
「わたくし、飲み物を買って参ります」
少し開けた場所で、お弁当を食べる為に用意してたら、
「あれ?ハルカちゃん?」
「堂院じゃん!何でいるの?」
そこにいたのは、高校3年間ずーっと同じクラスで、なおかつ隣の席という
腐れ縁の、堂院
「いや~。友達と高尾山に登る約束してたんだけどさー、ドタキャン食らっちゃったんだよ。参ったよ」
「あんた、よく入れたね?」
「ん?別に何も無かったよ」
「そ、そうなんだ」
「ハルカ。お友達かい?」
「これは、お義父さん。初めまして。高校の同級生だった、堂院
「じゃあ、堂院君も一緒にお弁当食べないかい?」
「ぜひ!」
なんだかんだで、一緒にお弁当を食べることに。
それにしても、ユリア遅いなー。
その頃ユリアは直ぐ近くで橘家と堂院 一との邂逅を見ていた。
「班目!控えていますか?」
すると、ユリアの背後の空間が揺らぎ始め、その揺らぎから男が浮かび上がってきた。
「姫様。ここに」
「十三。何故、堂院の小倅が此処にいるのです?周辺一帯は封鎖して結界も引いていた
筈では?」
「申し訳御座いません。結界に綻びがあったようで …… 」
「お前達の"眼"からも逃れたと言うのですか?」
「ハッ」
「あの者の魄動は、わたくしでも把握しきれないので仕方ないとはいえ、
失態ですよ十三!この事は父上にも報告します。いいですね!」
「御意」
「下がりなさい」
「ハッ」
十三と呼ばれた男は出てきた時と同じ様に、揺らぎの中に消えていった。
「堂院め」
ユリアは、見たこともない様な怒りの表情で、堂院 一を睨みつけていた。
「あらっ!堂院先輩では有りませんか!どうされたのです?」
「あっ、ユリアちゃん!」
「ユリア、遅かったね」
「申し訳御座いません。少々、自動販売機が混んでおりまして」
いやっ!他に人いないよね?
「堂院、友達からドタキャン食らったんだって。だから一緒にお弁当食べようって
事になって」
「そうでしたの。でも、堂院先輩?何かご用事が有るのでは?早く帰られた方が宜しいと思いますが?」
「姫は俺が居たらまずいことでも?」
「貴方に姫と呼ばれたくは有りません!馴れ馴れしいにも程があります!」
「ねぇねぇ、ハルカ」
「何、ママ?」
「彼氏?」
「ちがうからっ!た、だ、の友達!」
「そうなんだ、ハンサムなのに」
「そういうんじゃないからっ!」
ママと話し終わっても、ユリアと堂院の言い合いは続いてる、
あの二人、昔から仲悪いんだよね。
何でだろ?
人のざわめきを他所に
世界は巡る
空は高く
海は深く
大地は何処までも続いてく
この世界はなんてキレイなんだ
私の愛すべき人達が
いつまでも、幸せでありますように
ん? やっぱり、お、と、う、さん、
に不穏なオーラが
ていうか、まだやってる!
おまわりさーん、どうにかしてー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます