第28話

あああああっ、どうすんのさヨウ君…っ!


瞳ちゃんが変に食いついちゃったじゃんー!


はらはらしながら、瞳ちゃんとヨウ君の顔を見比べる。


…なんか心臓痛い。




「それは、」




ゆっくりと口を開くヨウ君。


爽やかぶった笑みを敷いたまま、企てのある瞳をして。




「昴から聞けばいいと思うよ」




まさかの丸投げ…っ!


ここで昴君に全部押し付けちゃうの!?


とんだ鬼畜だなおい…っ!




「え?昴に聞けばいいの?てゆうか、昴とまともに会うの久しぶりなんだけど」




ああ、そういえばそうだね。


昴君だけはずっと別件で動いてるから。


それは全部瞳ちゃんのためなんだけど。




「…陽平」




ふぅ、と。


深く息を吐いた昴君は。




「あとで覚えとけよ」




言葉とは裏腹に穏やかな声でそう言って、瞳ちゃんの手をするりと握った。




「えっ、えっ?昴?」



「買い出し行くぞ。コイツらアイスだけじゃ足りないだろ」




突然の展開に、困惑する瞳ちゃん。


だけどやっぱり昴君といられる嬉しさが優ったのか、頬を薄く染めながら笑顔で頷く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る