第19話

「だって優斗はスカートじゃないでしょ!?」



「そうだけどさー!」



「だから大丈夫!」




なんの根拠もない『大丈夫』だけど。


でもきっと優斗くらいなら綾も肩車できるだろうし。


必死になる私を見て、傍観していた奏がくつくつと楽しげに笑う。


そして。




「優ちゃん、肩車してもらえよ~。この部屋の中で1番視界高くなるぞ~?」



「うー、でも、」



「全員のこと見下ろせるしねぇ」




やんわりと、私のことをフォローしてくれる。


でもそんな子ども騙しな言葉で優斗が納得してくれるだろうか。


なんて、一抹の不安を覚えたのも束の間。




「………じゃ、じゃあやろうかなー」




口では仕方ないなという感じで言ってるけど。


目がキラッキラしてる。


今までにないくらい優斗の目が輝いている。


何その顔、絶対女の子より可愛い。




「綾、優斗のこと肩車してあげて」



「……しゃあねーな」




何が悲しくて優斗を、なんて綾はぶつぶつ文句を零していたけれど。


その割には軽々と、優斗のことを肩車して持ち上げてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る