第5話

頑張れ、と心の中で応援していれば。




「おい、オメーらもさっさと行くぞ」



「早く早くー」



「いつまでも座ってちゃ探せないでしょうに」




まるで元々約束でもしていたかのように、私と昴にまで声をかけてくる3人。


え、待って。


私『探したい』だなんて一言も口にしてないんですけど…っ!


昴だって興味無さげじゃないの…!




「いや、私はいい…、」




いいです、と断ろうとした瞬間。


スタスタと近付いてきた綾に、両脇の下に手を入れられてぐっと引き上げられる。




「…っ」




咄嗟のことに驚きすぎて、悲鳴さえ出なかった。


急に視界が高くなったせいで、ドキドキと心臓が激しく脈打ってる。




「ちょ、ビックリしすぎてキャンディー飲み込みそうになったんだけど…っ」



「あー?飲み込んでねーんだろ?」



「飲み込んではないけど…っ!」




そういう問題じゃないんだけど。


でも言っても軽くあしらわれるだけだろうからもういいけど。




「…取り敢えず手離して」




諦めてそうお願いすれば。




「このまま高い高いされるのと、大人しく裏ルート探しに行くのどっちがいーんだよ」




提示される謎の選択肢。




「あの、普通に離してくれるっていう選択肢はないの?」




重要な選択肢が抜けてるじゃないか。

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