第24話

暑さのせいで頭がくらくらする。


そろそろ真剣にお湯から出たい。


しかしそのまま数十分、脱衣所に続く扉は開かなかった。


熱で思考回路がやられて、若干変なテンションになっていた私たち。


どういう成り行きだったか忘れてしまったけれど、温泉から出たら卓球で勝負して、負けた人間が理事長の顔面にケーキをぶつけてみようという話になってしまった。


冷静な時なら絶対こんな勝負しようとは思わないのに。




「…本気でこれ以上お湯に入ってられる気がしないんだけど」




逆上せるとかいう次元を超えてる気がする。


ふぅ、と溜め息なのか深呼吸なのか分からない息を吐いた時。


カチャっと、鍵を開けるような音が響いた。




「ねぇ、今の音って…」



「もしかして、扉開くようになったのかねぇ」



「ほんとー?ちょっと確かめてみるよー」




ふらつく足取りで、扉へと向かった優斗。


そっと扉に手をかけて、それをすっと横に流す。


するとカラカラと音を立てて開いた扉。


どうやら私たちは、やっと解放されるらしい。




「じゃあ着替えて卓球台のトコ集合しよーぜ」




綾の提案にこくりと頷いて、少しふらつきながらも脱衣所に向かう。


浴衣に着替えて、ようやく外に出ることができた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る