第8話

固まる私を見て、意地悪く口角を上げる奏。


なんだなんだと戸惑っている内に、彼はゆったりと私に近付いて。




「な~に赤くなってんだよ、嬢」




そう囁いて、官能的に目を細める。


ふっと、その綺麗な指先で微かにパーカーのフードに触れて。




「バーでの続き、する?」



「な…っ、」




バーの続き、って。


言われて思い浮かぶのは、強制的に参加させられた野球拳ダーツ。


色々と思い出して、頬の熱がさらに上がる。




「今度は俺が脱がせてやるよ?」




“ぜんぶ”と、ぞくりと鳥肌が立つような声を出す。


そして微かに首を傾げたせいで、絹糸のような銀色の髪がさらりと揺れた。


ちょ、待って待って待って!


何この人…!?


何したいのこの人!


ほんと今日はこの人タチ悪い…!


Quuzでいる時からタチ悪い…!




「す、昴…っ!」




思わず、普通に服を着てる昴に助けを求める。


白ソファーに座っている彼は、全く動じる素振りを見せず。




「奏」




そのたった一言で、月の化身のような彼の動きを制する。


そして。




「瞳、こっち来て座ってろ」




昴も昴で、蠱惑的な声で私を読んだ。

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