第7話

で、堪らずに綾が服を買いに走ったと。




「綾は陽平がパーカー嫌いって知らなかったの?」



「いや?知ってるよ。どうせ着せてみたかったとかそんな理由でしょ」



「ま、結局陽平は着なかったから今日まで新品で保管されてたんだどね~」




…綾、いくら見てみたいからって謝る時にそれを買うってどうなの。


いや、綾っぽいけど。


そういうことしそうだけど。




「お前ら、いいから早くシャワー浴びないと風邪ひくぞ」




呆れたように眉を寄せて昴が言う。


ほんとだ、あとで綾と優斗も来るし早くしなきゃ。




「えぇと、じゃあシャワーとパーカー借ります」




ありがとう、とお礼を言ってから、昴の部屋のシャワーを借りる。


制服を脱げば、一気に身体が軽くなった。


どれだけ水分を含んでたんだ、この制服…。


確実に乾かない気がする。


そんなことを思いながら、冷えた身体を熱いシャワーで最低限温める。


そして他のメンバーを待たせるワケにいかないので、借りたパーカーを着て急いで生徒会室へと戻った。


戻った瞬間。




「なん…っ!」




思わず絶句。


濡れなかった昴以外の4人が、上半身裸で立っていた。




「ちょ、何して…!?」




てゆうか綾と優斗も戻って来てたのか。


いやいや違う、待って私。


いま考えるべきはそこじゃないはず。

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