第5話

そして生徒会室に辿り着いてすぐ。




「じゃあ、嬢からシャワー浴びて来いよ~」




とん、と軽く背を押されて、昴の部屋に押し込められる。


うん、まぁ浴びたいんだけど。


浴びるのは全然いいんだけど。


むしろ有り難いんだけど。




「いや、でも…着替え無いから」




そう、問題はそこだ。


シャワーを浴びてもまた濡れた服を着るなら意味が無い。


そう思って躊躇う私に声をかけたのは陽平で。




「あ、瞳ちゃん、俺のでよかったらパーカーあるよ」



「えっ、パーカー!?」



「その過剰反応はどういう意味かな瞳ちゃん」



「や、だって陽平、今までパーカーなんて着てたことないじゃない!」




見たことありませんけど!?


優斗はよく着てるけど…っ!


そんな風に目を見開く私を見て、陽平はくすりと笑う。


そして。




「瞳ちゃん、問題児たちと一緒にいるならあらゆる事態を想定しておかないといけないんだよ」




そう尤もらしいことを言った。


いや…うん。


もう絶対怒ってるでしょ。


綾と優斗に濡らされたこと、絶対怒ってるでしょ。


怖いからもう聞かないけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る