第4話

「待って!あの2人は…!?」




あの2人、というのは他でもない。


綾と優斗だ。


未だに真剣に水風船をぶつけ合うことに全力になっているあの2人のことだ。


そんな私の質問に、ふわりと艶やかに笑った奏は。




「放っとけよ~。いま下手に近付いたらとばっちりくうぞ~?」




なんとも説得力のある答えをくれた。


…まぁ、確かに。


いま声をかけに行ったところで、巻き添えをくうに決まってる。


なんだったら強制参加させられる。




「気にしなくていいよ瞳ちゃん。あの2人もどうせもうすぐ飽きるから」




くすくす、と楽しげに陽平は笑ってるけど。


どうもさっきから綾と優斗に対する扱いが雑だ。


やっぱりアレだろうか。


昴だけを狙うっていう協力体制に持っていったくせに、どさくさに紛れてあの2人が陽平にも水風船をぶつけていたからだろうか。




「…陽平、怒ってる?」



「え、俺が?まさか」




その『まさか』がどうにも嘘っぽいのは何故だ。


怖いからツッコまないけど。


そんな会話をしながら、4人でひと足先に生徒会室を目指す。


ふわふわと、歩くたびに頭から被った昴のブレザーが揺れた。

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