第12話 矢印の密集地帯を支える、車両の運用表。
こういうものは鉄道現場と鉄道趣味人くらいにしか用がないですが、これがないと車両の手配ができないときております。
人とモノの動き方をそれぞれ示すもの。
ここではまず、人はさて置いてモノ、列車の車両について。
車両を効率よく運営していかないと、作る車両が無駄に増えたり足らなかったりして問題が起きてしまいます。それができたての編成でもあればいざ知らず、これまで普通に走っている列車でそんなことが起きてはかなわんでしょうが。
そこで、その車両をどの列車にどのように活用していくかを示す表というものが必要となってくるわけですね。どこの車両基地に所属する何系のこのような編成の一群がどの列車で動いていくかという、そういう表が必要になるのです。
名づけて、運用表。
これがないと、車両自体を動かすことができません。いくら人がいても。ダイヤグラムに書かれた矢印を引延ばしたあの線(スジ)通りの列車が動かない、つまり計画が実現しないということになります。どうもやる気のない会社の営業マンの成績が伸びないけど、まあ、食えているからいいやとか、ぼちぼちがんばれとか、そういうことを云っていれば済む話ではありませんからね。大体、お客さんがいるわけでね、相手があっての話なのですから、ままあでは済まんのよ。
この運用表、最近は短距離に区切って運用される車両が増えましたが、昔はなんだかんだ言って、すごかった。
なんせ、九州の早岐に所属する客車が、大阪に出てそれから青森まで行くような運用もあったし、大阪鉄道管理局の向日町運転所にいる特急電車なんか、最大で南は西鹿児島や宮崎、北は上野や新潟まで何日もかけて走り回る運用だったこともあるくらいです。山陽本線だけで済む日があれば楽な方というか、そんな感じね。
長距離の列車はさすがに在来線からは消えましたが、今の新幹線なんか、通勤電車並の密度で走っていますけど、このあたりだったら東京から博多まで1000キロを超える距離を最速で行ったり来たり。
この列車の動きを表にしたところで、やはり、この線の性質は矢印ですよ。
品川あたりの車庫から東京駅に回送で出て、そこから博多まで突っ走って、いったん博多南に営業を兼ねて回送して掃除して、そこからまた博多に出て東京まで突っ走って、それから今度は基地にも入らず広島までもう一回突っ走ってお休みとかね。翌日は広島を朝一番に出て東京に出て、そこからまた博多まで突っ走って、少し博多南で休んで今度は名古屋まで突っ走って一泊。それから・・・。
その線一つ一つがどれも、矢印の組合せ。回送列車も、駅で待つ間も、もちろん突っ走っている間も。駅で待つ間は、その時間、その場所にいるだけかもしれないけど、その表上では、その時間その駅内を客待ちという名の時間を過ごすという意味での矢印ってことにでもなるかな。
この運用表というのもまた矢印ということになれば、人の動きもやっぱり、矢印になりゃあせん(線!)でしょうかね。
この運用表もそうだけど、さすがに時間以外の純然とした縦線は、1本も引かれません。それは、なぜでしょうね。そこは、次回以降に。
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