人類最大の発明・→(やじるし)

与方藤士朗

まずは御挨拶。人類の叡智の結晶 → を語ります!

第1話 ↓人類の叡智の結晶→を、血相を変えて語るぞ↑

 私はついに、人類の叡智の結晶であるところの発明が何であるか、ついに悟りを開き得た。これが、血相を変えても語らずにいられるだろうか!


 人類最高の叡智とは、何ぞや。

 それは、実に単純にして明快な形をとっている。

↑ これである。と言っているこれも、その仲間である。

↓ その名は、仮面ライダーではない。↓ ← プリキュアでもないよ。

やじるし ヤジルシ 矢印 yajirushi  以上、可能な限りの日本語表記。

ローマ字もあるけど気にしない。↑ あ、別に気にしてもいいけど、何もないよ。


そんな矢印について、熱く、語ってみたい。

皆さんはどうか、冷めた気持ちでじっくり、読んでみてください。


・・・・・・・ ・・・・・ ・


 まずひとつ、事例をあげます。


 私が、あなたをぶん殴ったとします。そのときの私の腕の動きを、長さを測った上でその「力」の向きを示してください。

 さすがに空間上では無理なので、黒板かホワイトボード、模造紙でもいいけど、 そこに、矢印で。さあ、やってみましょう。


・・・・・・・ ・・・・・ ・


 長さを私の腕で実際に書くものの前で測るか、メジャーで測るか。とりあえず、そこはクリアしたとしましょう。

 あなたはそこに、矢印を書きました。

 マジックであれボードペンであれチョークであれ、色は何であれ、矢印。

 気に入らん奴の家の壁にペンキで書くのは、やめようぜ。← 器物損壊罪だぞ。

 それなりの大きさになったでしょ。← わしゃ小人(こびと)じゃねえからの。


 さて、あなたと私、それを見ていた人たちは、この矢印が何を示すかわかりますよね。その背景さえも。だけど、その場から誰も居なくなったとき、そこでその矢印を目にした人は、その書かれた矢印の意味するところがわかるでしょうか?

矢印に似ているからって、某アマゾンのロゴみたいに書いて商売しないように。

普通に訴えられて、この会社から ↑ 多額の損害賠償を請求されます。


 もしわかるようにするなら、そこに私があなたの身体のどこであれアイドルグーパンチでもアントニオ猪木のビンタでも力道山の空手チョップでもジャイアント落合じゃなくてジャイアント馬場の脳天から竹割りでもいいですけど(なぜか今のプリキュアから一気に昭和のプロレスへ)、当たっているところを写真にとって現像して貼り付けておくか、何なら、動画でも再生できるようにしておけばいい。

 でも、そんな気の利いたものはナシですよ。

 矢印ひとつで、それが一瞬で判別できますか?

 結論から言えば、無理でしょう。

 その状況を知っている人、もしくは聞き及んでやってきた人を除いては。後者にはもちろん、暴行罪なり傷害罪なりで捜査に来た警察関係者や起訴するにあたっての検察官、その提示を受ける裁判官やなぜかついた国選(私選もあるよ)弁護人といった人らは、その矢印を何らかの証拠として扱うかもしれんわな。

 だけど、そんな特殊例はキリがないからこれ以上挙げません。

 普通、そんなもん、矢印だけですべての事実を明らかになんて無理(もしわかるならさっきの話、警察の捜査も刑事裁判の証拠認定も、実に楽になるわな)。それはなぜかというと、矢印というものが具体性のある状況を捨象(しゃしょう)、つまりすなわち捨て去っているからなのです。

 そんなもん、わかるかボケ! ← ですよね~。


 とはいうものの、そこまで具体性を捨象し切った記号であるからこそ、矢印は無限の可能性をその向きで(体を張って←マジこれポイント!)示しているのです。


 今書かれている矢印じゃなければどこにも使えない!

  ↑ なんてこと、ないですよね。


 それを言うならむしろ、私が一人歩きしている矢印を連れてきて皆さんに見えるようにしたってことです。正確には、あなたに書いてもらったものだけど。でもまあそこは、大した問題じゃない。

 そんな矢印ですけど、見えると見えないとを問わず、私たち人類の前に見えつ隠れつ変幻自在の大活躍をしているのです。その自由自在たるや、中学受験を志す賢い少年少女たちの参考書など足元にも及ばず、その変幻自在ぶりたるや、カメレオンアーミーも裸足で逃げ出すほど!

 ↑ ちょっと昭和の古いたとえでごめんけど、そゆこと。

  わし、ピンクレディーよりキャンディーズの方が好きやけどなぁ~(苦笑)。


 さあいっちょ、→ について語って参りましょう。

 乞う、御期待。← 誰も期待してないって? 別にいいよ。→ほっといてくれ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る