第45話「お土産コーナーが好き」

旅行に出かけると、私が一番楽しみにしているのは観光名所でもグルメでもない。

そう、「お土産コーナー」だ。


どんなに立派なお城を見ても、どんなに有名な温泉に浸かっても、最後に必ず立ち寄るのは売店。しかも一番長居するのは、たいていそこだ。


昔は律儀に、職場の人や友人、家族にまでお土産を買い込んでいた。けれど正直、あれは「配布作業」に近い。旅の余韻どころか、まるで営業ノルマの配布物。

そんな自分に気づいてからは、きっぱりと決めた。これからは“自分のために買う”。


ただし、幼なじみだけは例外。なぜか彼女にだけはつい買ってしまう。

友情か、それとも長年の習性か。まぁ、そこは深く考えないことにしている。


最近のお気に入りは、旅館で使ったシャンプーやトリートメント、ピーリングジェルなどのアメニティ。

「今日の私、髪がCMみたいにツヤってる!」と錯覚した瞬間、もうレジへ直行だ。


チェックアウトのあと、お土産コーナーで棚を眺めながら、あまり減っていない在庫の中から一本を慎重に選ぶ。

すると店員さんが声をかけてくれる。

「これ、よかったですよね!私も使ってるんです」


ああ、わかるわかる!一度使ってみなければわからない、この“隠れた名品感”。

そんな瞬間は、思わぬところで「旅の同志」に出会ったようで、少しうれしい。


ただ問題は、調子に乗って買いすぎることだ。

気づけば、家のバスルームがご当地シャンプーで埋め尽くされている。いや、そこまでではないか。うーん…ボトルは何本かあるが、小さな百均ボトルに移し替えてるし、場所はーーー…そんなにーーー…とってない!大丈夫!!

旅行を重ねるたびに増えていき、今や収納庫の中には小さな「全国ヘアケア博物館」と化している。


お風呂に入るたび、「今日はどこのにしようか」と迷うのも楽しい。

けれど、髪は潤っても財布は確実に乾いていく。


それでも、きっと次の旅でも私はまたお土産コーナーに立ち止まり、同じようにシャンプーやトリートメント、ボディソープを抱えてレジに並ぶのだろう。

だって旅の醍醐味は、帰ってからのお風呂の湯気の中にも、ちゃんと続いているのだから。





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