第33話「思い出すための散歩」
何かをしようと思って立ち上がった瞬間、
――あれ?何をしようとしてたんだっけ。
そんなこと、ありませんか。
私はしょっちゅうです。
立ち上がったはいいものの、途中で「ついでにこれも」と別のことをやり始めて、そのまま話しかけられたりすると、もうだめです。頭の中の用事リストは、白紙に戻ります。
私の場合、思い出す方法はひとつ。最初にいた場所に戻ることです。
台所で「あれをしよう」と思って立ち上がり、リビングで別のことをしてしまい、結局また台所に戻ってきて「あ、そういえば」と思い出す。まるでゲームのセーブポイントみたいに、場所を戻ると記憶が復活するのです。
3歩歩いたら忘れる鶏じゃないんだから、しっかりしてくれ自分……と思いますが、どうやら脳の構造上、忘れるのはある程度仕方ないらしいですね。記憶は場所や状況とセットで保存されることが多いから、最初の場所に戻ると記憶のスイッチが入る。そう考えると、人間って案外アナログです。
それにしても、忘れたことを思い出そうとウロウロしている自分の姿を、ふと想像すると可笑しくなります。ちょっとした散歩みたいで、気づけば用事を思い出すよりも先に、部屋の隅のホコリや窓の汚れの方が気になったりして。用事の本筋からどんどん離れていく自分に苦笑いです。
みなさんはどうですか。
忘れたことを思い出すとき、どんな方法を使っていますか。
いや、もしかして…こんなに忘れるのは私だけなのかもしれない。み、認めたくないぜ。
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