第27話 お客様を皆平等にすべきか?

「俺を信用する人が一生のお客様だ」

非社会的人間だろうが、外国人だろうが、信用してくれた人間の心に応える。これが俺のやり方だ。我が親父の商売信念だ。先入観なんて必要ない。人がなんて言おうが関係ない。「俺を信用する人が一生のお客様だ」


バイクの営業をしていると、必ずぶつかる壁がある。

「あそこは暴走族とも商売をしている」

確かに、不法改造されたバイクが集まってきて、ガラの悪いハンパ者と言われる人がたむろするようになる。非社会的存在か?


私の性格上、黙っていられないので、

「ああいう連中と付き合うのを辞めた方が良い」と店主に提案。しかし、店主は全く違う回答でした。「俺が見捨てたら、あいつらどこで治すのか?整備不良のバイクだと事故する確率は上がるよ。俺を頼ってくるあいつらを見捨てない。ただ、間違った生き方を俺が注意し、徐々に更生させる。尾崎君は、幸せな家庭に育っているようで、解んないだろうね。」店主は、一人一人の事情を理解し、彼らの親父のようにふれあい、更生させていった。結婚式の招待件数は半端でない。スピーチでは、「自分の足で、一生懸命生きろ!他人がその生き方にケチを付けたら、俺のところに来い」お決まりだ。名セリフである。


営業の本質を考えると、ただ売上が上がればいい、儲かれば良いでは、無さそうである。お客様の事情を理解し、人に後ろ指を刺されようが、自分の信念を貫き、同じ釜の飯を食べるつまり「共感」体験を積み重ね、近江商人の教えである「人の心を掴み、動かす事」これこそが本質と言えるものだと思います。

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