第2話 唯一の追加法則──魔素(精神感応粒子)
この世界には、地球とほぼ同じ物理法則が存在します。
重力があり、摩擦があり、熱があり、質量保存も慣性の法則も、すべてあります。
ただ──たった一つだけ、違うものがある。
それが、星の内側から湧き出している《魔素(まそ)》と呼ばれる“精神感応粒子”です。
魔素とは、この星の大気や水の代わりとなる微細な粒子であり、
精神──つまり“心”の影響を受けて、自在に性質を変化させます。
無色透明無味無臭のその粒子は、単独では粒子同士で結合し、動くことはありません。
ですが、生物等の意思の届く周辺ではおおむね水に溶いた片栗粉のような挙動をします。
ゆっくりと動く限りは、液体のように流れます。
しかし、急激に動こうとすればするほど硬化し、
強く動こうとする者ほど、自分の動きに殺される──そんな性質を持っています。
だからこそ、この世界では創作で多用される「縮地」等の高速移動。
その速度でもって対象を破壊する「銃弾」などは通用しない。
世界を埋め尽くす魔素の壁にぶつかり、砕け散ることになります。
想いが届く範囲内で、正しく精神を乗せた行動だけが、粒子を味方にできる。
そして、味方にした粒子の範囲を《領域》として定義しています。
領域はパーソナルスペースの拡張版のようなもので、心理的な壁が物理的に作用すると捉えてもらえれば分かりやすいかと思われます。
また、この領域内では無意識に自分に快適な空間に調整する意思が働くので、日常生活を送る分には地球とさほど変わらないと考えて頂いて問題ありません。
ただし、意思のない存在(機械等)は領域が存在せず、魔素に干渉できないため単独で動くことすらできません。
この世界で動けるかどうかは、“世界に受け入れられているかどうか”に等しいのです。
この魔素の存在により、
炎は燃えるために精神を要し、水は生きる意思に応じて流れ、
魔法も回復も、そして戦いすらも、“想い”によって成立しているのです。
これが、《想器の星エスプレア》を成立させる、唯一にしてすべての“特別なルール”。
このたった一つの法則が、
チートも理不尽も、ご都合主義すらも受け入れない世界を形作っています。
次の話からは、この魔素がどのように影響していくかを例を踏まえて解説していきます。
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