第18話迫る「虚無の影」! スライムたちと挑む、世界再生への道


きよらちゃん(浄化の光スライム)の活躍によって一時的に食い止められた「万物融解の瘴気」。


しかし、ポチ子がエルダー・スライムの残留思念から受け取った「あれは、かつて古代スライム文明を脅かした大いなる災いの、ほんの予兆に過ぎない」という警告は、ケンジとカゲウス村の住人たちに、これまでにないほどの緊張と不安をもたらしていた。



「まさか、村の言い伝えにあった『世界を虚無に還す影』が、本当に現れるとは…」


村の集会所に集まった村長、ゲンゾウ爺さん、そしてサブローたちは、ケンジから伝えられた瘴気の正体と、古代スライム文明が遺した「希望の種」の存在に、息をのむ。


広がる不安を打ち消すように、ケンジは力強く言った。


「大丈夫です!僕たちには、古代のスライムたちが未来に託した『希望』がある。そして、僕のかわいいスライムたちがいます!みんなで力を合わせれば、きっとどんな災いだって乗り越えられます!」


その言葉に、村人たちの顔にも、かすかながら決意の光が灯る。


ケンジは、瘴気の本格的な襲来に備え、そしてその根本的な対抗策を見つけ出すため、再び古代遺跡の「眠れる希望の園」へと向かうことを決断した。


今度は、ただの探検ではない。未来を左右するかもしれない、重要な使命を帯びていた。


今回の探検隊メンバーは、ケンジ、ポチ子、ヌマゴン(対瘴気用・特殊フィルター付き重装甲モードに進化!)、ピカリンちゃん(瘴気のエネルギー分析機能を追加!)、サブロー、そして新たに仲間に加わったソレイユちゃん(太陽のスライム)と、きよらちゃん。


ソレイユちゃんの生命エネルギーは瘴気を弱め、きよらちゃんの浄化の光は道中の安全を確保する上で不可欠だった。


再び足を踏み入れた「眠れる希望の園」。


そこは以前と変わらず、神秘的な光と静寂に包まれていたが、どこか張り詰めたような、世界の危機を予感させるような空気が漂っている。


「ポチ子、エルダー・スライム様の声は聞こえるかい?この瘴気に打ち勝つための『希望の種』について、もっと詳しく教えてほしいんだ」


ケンジの言葉に、ポチ子は静かに頷くと、エルダー・スライムの祭壇(?)へと近づき、再びその小さな体を淡い光で包み込み、精神を集中させた。ソレイユちゃんの黄金の光が、ポチ子の共鳴能力を優しくサポートする。


それから長い瞑想の後、ポチ子はゆっくりと目を開けた(ように見えた)。


「ケンジ…わかったよ…。エルダー・スライム様が教えてくれた…。この園に眠るたくさんの『希望の種』の中でも、ひときわ大きな力で、この大地そのものを守り、浄化する力を持つ方がいるって…。そのスライム様を目覚めさせることができれば、きっと大きな力になってくれるはず…!」


ポチ子の導きに従い、一行は庭園の中央、ひときわ巨大な水晶の台座に安置された、岩盤のようにゴツゴツとし、大樹のような力強い生命のオーラを放つ、巨大な種スライムの前にたどり着いた。


「この方が…大地の守護神…!」


ケンジは、その種スライムから発せられる圧倒的な存在感に、思わずゴクリと唾を飲み込んだ。


しかし、この種スライムを目覚めさせるには、特別な「儀式」と、膨大な「純粋なエネルギー」が必要だと、ポチ子は言う。


「よし、みんな、力を貸してくれ!このカゲウス村を、そしてこの世界を、あの虚無の影から守るために!」


ケンジの号令一下、スライムたちの総力を挙げた「古代スライム覚醒プロジェクト」が開始された!


まず、ヌマゴンがその巨体と大地を操る力で、種スライムの周囲の地面に古代の紋様(ポチ子がエルダー・スライムから教わった)を描き出し、大地のエネルギーラインを活性化させる。


次に、ソレイユちゃんがその黄金の輝きを最大限に放ち、太陽の生命エネルギーを種スライムへと注ぎ込む。


そして、きよらちゃんが、その浄化の光で種スライムを包み込み、目覚めを促すための清浄な環境を作り出す。


ピカリンちゃんたちは、それぞれの持つ光のエネルギーを一点に集中させ、儀式に必要な触媒となる特殊な光のパターンを照射。


最後に、ケンジが、これまでのスライムたちへの感謝と、未来への希望、そして大地への祈りを込めて、「大地の目覚めの歌(古代スライム語と現代語をミックスした、超絶技巧の重低音ハミングバージョン)」を、朗々と歌い上げた!


すると、種スライムが、ゴゴゴゴゴ…という地響きと共に、ゆっくりと脈動を始めた!


そして、まばゆい光と共に、その硬質な殻が砕け散り、中から姿を現したのは…… ヌマゴンよりも数倍は巨大な、山のように雄々しく、そして大地のように温かなオーラを放つ、超弩級の古代スライムだった!


その体は、まるで生きている森そのもののようで、苔むした岩肌のような皮膚を持ち、頭上には若葉の冠が輝いている。


「目覚めさせてくれて、感謝する、小さき者たちよ…」


そのスライムは、地響きのような、しかしどこか優しい声で、直接ケンジたちの心に語りかけてきた。


「我が名はガイア…かつてこの大地を虚無の影から守りし者。永き眠りについていたが、再び世界が危機に瀕していると聞いては、黙ってはおれぬ」


ケンジは、その圧倒的な存在感と、深い叡智を感じさせる言葉に、ただただ畏敬の念を抱いた。


「ガイア様…!どうか、僕たちに力を貸してください!」

「うむ。我が力の及ぶ限り、この星の生命を守るのが、我が使命ゆえ」


こうして、カゲウス村は、最強にして最古の(かもしれない)頼もしすぎる仲間、「大地の守護神スライム・ガイアガーディアン」(愛称:ガイア様)を迎えたのだった!


新たな仲間を得たケンジは、この危機的状況をドリアンコ町のオルコット町長にも伝え、協力を仰ぐべきだと判断した。


そしてピジョンポッポ君に、瘴気のサンプル(きよらちゃんが浄化しきれなかった微量のものを、パッくんが作った超密封スライムカプセルに封入したもの)、現状の説明とガイア様の覚醒を記した手紙、そして「この脅威は、カゲウス村だけの問題では済まないかもしれません。どうか、一刻も早いご賢察とご協力を、心よりお願い申し上げます」という切実なメッセージを託し、ドリアンコ町へと飛ばした。


これを見たオルコット町長が、この未曾有の危機と、スライムという未知の力に対して、どのような判断を下すのか…それが、今後の世界の運命を左右するかもしれない。



【一方その頃…瘴気の初期症状を「ありがたい試練」と勘違いし、ますます残念な方向へ突き進む勇者一行】


魔法使いインテリオの日誌(もはや、哲学書なのか、ただの愚痴ノートなのか判別不能)


最近、この湿原一帯に、奇妙な『無気力になる霧』(瘴気の初期症状である倦怠感と精神的疲労)が漂い始めた。勇者様は、これを『我々のたるみきった精神を鍛え直し、真の英雄へと昇華させるための、神がお与えになった聖なる試練の霧だ!』と、なぜかポジティブに解釈。その霧の中で、『無我の境地に至る!』と称して謎の精神統一(実際はただ目を閉じて白昼夢を見ているだけ)や、見るも無残なフラフラダンス(本人曰く『虚無を打ち払う奉納の舞』)を延々と続けておられる。


マッスルンダーも『ウス!キリ!スゴイ!チカラガ…ヌケル…コレデイイ!』と、瘴気の効果で全身の力が抜けていくのを『精神が肉体を超越した証』と喜び、勇者様と一緒にフラフラしている。 私はもう、何も言うまい。ただ、この霧の中にいると、本当に何もかもがどうでもよくなり、全ての思考が停止していくような、奇妙な心地よさ(末期症状)を感じるのだから、皮肉なものだ…。



ガイアガーディアンの覚醒は、カゲウス村に大きな希望をもたらした。


ガイア様は、その圧倒的な力で、村の周囲に強力な「生命結界」を張り巡らせ、瘴気の侵入を完全にシャットアウト。


さらに、きよらちゃんたちと協力し、すでに瘴気に侵された湿原の一部の浄化作業も開始した。その光景は、まさに神話の一場面のようであり、村人たちはガイア様の神々しい姿に手を合わせ、涙ながらに感謝した。


しかし、ポチ子がエルダー・スライムから受け取ったさらなる情報によれば、この地域の瘴気は、いずれ世界全体を覆うかもしれない「大いなる災い」の、ほんの小さな「染み出し」に過ぎないという。


「本当の戦いは、これからだよ、みんな…」


ケンジは、カゲウス村の空を見上げた。ガイア様の結界に守られ、そこは以前と変わらず平和な光景が広がっている。


だが、その結界の外には、確実に忍び寄る「虚無の影」が存在する。


カゲウス村を守る。そして、この世界を、そこに生きる全ての生命を、スライムたちと共に守り抜く。


ケンジの胸には、途方もなく大きな使命感が、しかしそれ以上に強い決意が宿っていた。


遠くドリアンコ町の空を眺め、オルコット町長からの返信を待つケンジ。その傍らでは、ポチ子、ヌマゴン、ピカリンちゃん、そしてソレイユちゃん、きよらちゃん、そして新たに覚醒したガイア様が、それぞれのやり方で、来るべき戦いに備えるかのように、静かに、しかし力強く佇んでいた。


ケンジたちの、村を守る総力戦が、今、まさに始まろうとしていた。

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