第6話 魔物にも感情があるのです。それは延々召喚も同じです。
「それもそうなのだけど……」
少し悲しそうな眼をする叔母さま。
四人を抱きしめて言う。
「もう大人とはいえ、子供を心配するのが大半の親だと思うよ。別にあなた達のおばあさまは兄さまにしか興味がなかった大半の親じゃない方だったけど。」
『あなた達のおばあさま』とはつまり、ヴェレナ叔母さま……ちがうヴィシェリアさんのお母さんはヴィシェリアさんのお兄さん。つまり魔王にしか興味がなかった。
よく読む異世界物のお話にあるような期待される天才姉妹と落ちこぼれの自分のお話。
でも、天才姉妹は自分をいじめてくる~みたいなものか。
「ソフィアちゃん。連れ去られて来たって言うのは謝るわ。私に相談せずにウィリアムが人質にとるんだもの。」
「……最初は驚いた。でも……」
ソフィアが頬を赤らめた後、ヴィシェリアを手招きする。
「?」
ヴィシェリアはよく分からないもののソフィアの口に耳を近づける。
「好きな人で来ちゃったから。」
「うそ⁉」
その声はヴィシェリアさんのものではなくコトノハさんのもの。
「ソフィアさま、今夜わたくしの部屋に来ていただけません⁉」
「「?」」
突然のコトノハさんの反応にレイジとリジュはハテナだ。
「あらら。そういう話はコトノハは大好物なのよ。」
「夜にレイジを迎えに使わすのでぜひいらしてください‼わたくし、この後負傷した物を癒しに行かなければならないので、これにて。母さまもいらしてください‼」
あれ?レイジの方がお兄ちゃんのはずだよね?
っていうか、だいぶ小さな声でしゃべったのに聞こえてたの⁉
「コトノハは延々召喚詩と似た延々召喚
「精霊って神族が使わすって伝えられてますよね?いるかどうかわからない神族が仕えるさらに分からない精霊がなぜ召喚されて。しかも魔物って……。」
「そうね。人間界は神族をおとぎ話、童話にされているわね。でも実際に存在するのよ。魔族とは犬猿の仲だけど。神族ったら人間にわずかに支援してるのよね~。」
支援……?
そんなものは見たことないし、感じたこともない。
「こっちから観たら圧倒的にそっちのが有利。前までは訳もわからなかったけど、潜入してみてわかったわ。騎士団で言うなら騎士団長のハルディン、副団長のアレン、大将のカイドウ他にもいるけどその辺全員聖霊よ。」
「ハルディンさま、アレンさま、カイドウさまが全員精霊さま………?」
今まで童話で聞いていた精霊さまがそんな身近に……。
「そう。実際神族がそちらに出向くのはなかなかいないけど、いないわけじゃないわよ。精霊は気が付かなかったけど、神族はさすがに私に気が付いてね。まあ、ニコニコはしてたけど、どうもピリピリした雰囲気の人は神族ね。」
「じゃあ侍女長のマシェリナは神族?」
あの二人が一緒にいるときは写真で見れば仲いいように見えるかもしれない。
けど、実際その場にいるとビシビシと肌に感じる喧嘩の最中のような雰囲気。
言われてみれば仲が悪い。
「正解。立場上仲良くしなきゃいけないから笑顔貼り付けてたけど、よく考えたら神族も同じで魔族や人間と似てるのかもね。もうちょっと技術を高めて天界に潜入してもいいのかもね。ソフィアちゃんも一緒に。」
「私が?」
「母上。」
ユウシさんがヴィシェリアさんを止めに入る。
「あ。ごめん。ユウシが先だった。」
ユウシさんと何か約束があった?
「……そろそろウィリアムが来そうだから、ソフィアちゃんは帰った方がいいわ。」
ヴィシェリアさんが扉を開ける。
「一人で帰れる?」
「大丈夫です。」
「くれぐれも……見つからないように気を付けてね。」
「はい………?」
魔物には見つからないように気を付けるつもりだが、ヴィシェリアさんの言い方だと別の何かに「見つからないように」と言っているように聞こえる。
「じゃあまた夜に。」
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