その16:せっかく転生させるというのにこいつといったら(後編)

「それじゃ、モニア様。百歩譲って、ヨリでなくていいです。バージンの美少女百人位でハーレムが造れる様な異世界に転生させて下さい。最初、商会さんにお願いする時に、その要望入れるの忘れちゃってたんですよね」


「何、訳の分からない事いってるんですか!? 私にどうやってバージン百人集めろと! それにせっかく集めても、あなたがエッチしちゃったらバージンじゃなくなっちゃうでしょ!?」

「そしたら、また補充して下さい」


「出来るかー、そんな事!!」

 ああ、ついにモニア様が切れた。だが、これも作戦のうちだ。交渉っていうのは、最初に無理難題を吹っかけてからハードルを下げると通りやすいって聞いた事がある。


「それじゃ……モニア様が僕とエッチして下さい」

「はいっ?」

「あっ、別にモニア様がバージンかどうかは気にしません。ですがこんなお美しい神様と関係出来るのであれば、僕、もう一回死んでもいいかも知れません」

「あ、あなたね……何を馬鹿な事を……だいたい、私……男の人なんて……」

「僕じゃ嫌ですか? そうであれば、バージン百人での転生を……」

「もー。いつのまにか究極の二択になってるぅーーー!!」

 

 ふっ、女神といってもこいつ……アホだな。こんなに相手の意見に振り回されていて、よく転生神なんかが務まっているもんだ。ここに来る転生予定者は、よほどみんな善良な人達ばかりなんだろうな。でも、おもしろいからもっと追い込んでみよう。


「さあ、どっちですかモニア様。バージン百人ハーレムか。モニア様とエッチか?」

 僕が大声で迫ると、ひっと委縮しながら、モニア様が答えた。

「……私がお相手します……」

「えー、マジでいいんですかぁー! うれしいなー。それじゃ早速」

 僕はそう言いながら、モニア様にとびつき、その豊満なお胸に顔をうずめた。

「あんっ!」はは、声がかわいい。しかし、僕は悪びれもせず、その手を背中からお尻の方に廻し、薄いロングのワンピースの上からゆっくりさする。

「ああんっ!」さっきより感じた様だ。そしてそのままスカートをたくし上げ……おお、なんと神々しいおぱんつ。さすがに女神様だけあって、下着も高級そうだ。

 いい給料もらってるんだろうな。それでは、これを一気に降ろして……


 ピピピピピピッ…………

 いきなりベルの様なものが鳴った。


「あっ、お兄さんごめん。内線が入ったわ」

 そう言ってモニア様が僕の手を振りほどき、ちょっと後ろに下がって、どこからかスマホ見たいなものを出した。


「あっ……はい。申し訳ございません。すぐに……」

 モニア様、誰と話してんだろ。でもあの様子あと、何かクレームかお叱りっぽいよな。しばらくやり取りをした後、通信は切れた様で、モニア様が持っていた端末がふっと消えた。


「あの、モニア様。それでは続きを……」

「あ、お兄さんごめんね。あなたの転生処理に時間がかかりすぎて、上司が怒っちゃったの。それで、いまからここに来るって……」

「はいっ? それじゃ、エッチの続きは?」

「上司がOKしたら、続けましょう」

 えー、なにそれ。そんなの、上司がOKするはずないじゃん。

 くそ、もう少しでモニア様、丸めこんでエッチ出来たのに……もんもんとしながら不貞腐れていたら、いつの間にか後ろに女性が立っていた。


「うわっ、ビックリした……でもこちらの方も、モニア様に負けず劣らず妖艶なお方ですね。この方がモニア様の上司?」僕の質問に、モニア様がうなずいた。


「ああ君。そのまま楽にしていていいよ。私はモニアの上司で、この転生部門の責任者をしているエニューという者だ。以後、お見知りおきを」

「いえ、こちらこそよろしく」


「それでモニア。君はなぜ予定のメイファーさんではなく、こんなお兄さんの相手をしているのだ?」エニュー様の問いに、しどろもどろなモニア様に替わり、僕がいきさつを説明した。


「なるほど。そんな入れ違いは前代未聞だな。それでモニア。お前、それ自分で何とかしようとしていたのか?」だんまりのモニア様に替わって、また僕が答える。

「そうです。モニア様は僕の志を遂げて下さろうと、自らの身体で僕とエッチしようとして下さっていたのです! それをあと少しと言うところで、エニュー様が来られて……正直、迷惑なんですけど」

「そうか。それはすまなかったな。まあ、お互いの同意があるのなら問題はない。後でモニアとは好きにエッチしてくれ」

「えっ。よろしいので?」

「ああ、だがそれと君の処遇は別だ。君は転移者なのだろう? それをこちらが勝手に処理する事は出来ないのさ。それで私は、これから転移部門に連絡を取って、君の処遇を話し合おうと思う。だからしばらくここで待っていてくれないか?」

「はい! モニア様と組んづほぐれつしながら待ってます!!」

 ふっっと鼻で笑って、エニュー様の姿が消えた。


「行っちゃいましたね。話し合いってどのくらいかかるのか分かりませんが、これはチャンスです。モニア様。さっきの続きを是非!!」

「何、言ってんですか! 私とのエッチは、あなたの処遇とは関係ないって、エニュー様が……」

「ですが、それはそれ。女神様だと、こうした男女の睦み合いなんかそうそう出来ませんよ。せっかくですから、ここは覚悟を決めてロストバージンを!!」

「なっ、私がバージンだなんて一言も……」

「いやいや。いままでの仕草やお言葉を鑑みるにほぼ100%バージンですよね!?」

「……あ、そんな……でも、そうかも……うう、抵抗出来ない……」

 そして僕の両手が、モニア様のおぱんつを掴み、下にグイっと……


 ちゅどーーーーーん!! 突然、爆炎が上がり、僕は十m位吹き飛ばされた。


「あーあ。お兄ちゃん。いくら何でも女神様襲おうとか……勘弁してよ」

「えっ? ヨリ!?」

 するとその後ろから、エニュー様が顔を出した。


「いやいや、お兄さん。どうやら転移部門の方が先に動いていた様でね。こちらから連絡したとたん、もう準備は出来ているからといって君の妹さんを迎えに飛ばしてきたよ」

「よかったねお兄ちゃん。今回特例で、メイファーちゃんの寿命も延長してくれるって! 一旦死んだメイファーちゃんが、元の世界に転生したていで書類揃えるんだってさ」

「あ、そうなの?」呆然としている僕の顔を、おぱんつを膝まで降ろされたモニア様が、キッと睨んでいた。

 

(終)


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