第6話 ダブルス予選
6月第二週の土曜日。
今日はIH予選ダブルスがある日だ。
目標はベスト16。
組み合わせ的にはベスト16決めの試合以外は勝てそうな相手が名を連ねていた。
支度をして外に出る。
すると、ちょうど雪も家から出てきた。
「お、準備万端だね。」
「ああ、もう時間だしな。」
「私は午後から応援行くから、それまで負けるなよ!」
「そうだな、頑張るよ。」
雪は俺の試合となれば毎回応援に来てくれる。
とてもありがたい存在だ。
今日はバスケの練習があるらしいので、それが終わってからくるらしい。
こいつもIH予選近いしな。
俺たちは拳をあわせて、軽く笑顔をお互いに見せる。
いつものルーティンだ。試合の日の朝の。
「じゃあ、行ってくる。」
「ファイト!」
親の車に揺られて30分。
大会会場に到着した。
既に会場前には多くのひとがおり、俺の高校の集合場所にも人が集まっていた。
「よう。」
恭介が声をかける。
「おはよ。」
「いやー緊張するな!」
「そうだな。」
「せっかくくじ運に恵まれたんだから、勝たないとな!」
「もちろん。勝つように頑張ろうぜ。」
その後、牧島とかと話し、試合会場に入場。
その後、ウォーミングアップの準備を始める。
「中宮さん、緊張してますか?」
牧島がそんなこと聞いてきた。
「まあ、お前よりはしてないよ。」
「べ、別に俺も緊張は…」
「後輩に聞いたらずっとそわそわしてたらしいけど?」
「うるさいですね!」
中学では何回も試合に出ていたが、この高校の試合の雰囲気には流石にまだ慣れないらしい。
「まあ、そう固くなるな。お前なら勝てるよ。」
「そうですけど…ちょっとペアが…」
俺にだけ聞こえる小さい声で語りかけてきた。
なるほど、これもこいつが緊張してる理由の一つだな。
俺が視界を奥にずらすと、そこにはシューズの紐を結んでいる市岡の姿があった。
市岡は下手ではないが上手いとは言えないやつだった。
牧島との技術差を考えるとどう考えても釣り合わない。
しかし、この高校に俺と恭介以外できるやつはいない。
仕方なく市岡になったかんじだった。
「やっぱり、俺も中宮さんが良かった。」
不満げに言ってくる。
そこに…
「残念だったな!牧島!達也のペアはこの俺だ!」
恭介が自慢そうに言ってくる。
恭介と牧島の技術差はそんなにないが、俺との経験値を考えると流石に恭介の方が良かった。
「心配するな。この高校に来たからにはペアが弱いというのはほとんどのやつが通る道だ。」
先輩面する恭介。
実際そうだ。
去年恭介はペアの相手が弱いせいで一回戦敗けを喫した。
仕方ない。そういうものだ。この高校は。
「さあ、今更文句を言っても仕方ないから、ウォーミングアップいくよ。」
俺が牧島をあやすようにウォーミングアップに連れていく。
それでも牧島は不満げだった。
…ごめんよ牧島!
その後ウォーミングアップを終わらせ、開会式の後試合開始。
俺たちはこの後すぐだった。
「まあ、しばらくは勝てる相手だから。落ち着いて。」
「そうだね。落ち着いて、落ち着いて。」
そう言う恭介はずっと足が震えていた。
初めて俺と試合でダブルスを組む。
勝てるやつがペアだからか余計緊張するらしい。
そんなこんなで…
『コールします。…入ってください。』
ほら呼ばれたぞ。
俺たちはラケットを持って、コートに入る。
流石にここで負けるわけにはいかないな。
俺はつよくラケットを握った。
「ファーストゲームラブオールプレイ」
……………………
「イン!」
「ナイショ!恭介。」
「ああ、今のは良かった。」
「もう1本いこう。」
試合は俺たちがずっと主導権を持ったまま、2セット目の終盤。
スコアは20ー6
さっきずっと震えていた恭介も試合になればいつも通りのプレイをしてくる。
頼りになるやつだ。
俺のとこに甘いシャトルがくる。
チャンスだ。
最後にスマッシュを打って試合終了。
圧勝だった。
この調子でいけば後、3回戦までは余裕だな。
そして試合は進む。
現在四回戦が行われている。
じきに俺たちも呼ばれるだろう。
これがベスト16決めの試合。
今日はベスト16までを決め後日その後を行う。
つまり今日最後の試合だ。
相手は去年俺が斎藤さん(去年の部長。唯一、3年の中でうまかった人。)と戦い惜敗した相手だった。
ここが今日の山場。
厳しい試合になるだろう。
恭介と斎藤さんのレベルは同じくらい。
それじゃ駄目だ。
俺がカバーするとはいえ、限度がある。
あいつ自身の頑張りが必要だ。
とか思ってたら…
「あ、いた!」
聞き馴染みのある声。
『七瀬さん!』
多くのやつが視線を釘付けにしている。
七瀬 雪がきた。
「あーやっぱり中宮君と、林道君だけか。残ってるの。」
「まあ、仕方ないさ。」
「あの一年生は?」
「二回戦敗退。ペアのこと考えたらよく頑張ったよ。」
牧島のペアは一回戦から強い相手だったが牧島のプレイに救われ、なんとか勝利した。
しかし二回戦はもっと格上。
なす術なく敗れた。
それでもあいつは諦めることなく必死にくらいついていた。
良いプレイもたくさんあったし、ペアが俺か恭介ならワンチャンあったかもしれない。
「じゃあ最後の希望の中宮君と林道君には頑張ってもらわないと。」
「ああ、今日最後だしね。勝つよ。」
『コールします。…入ってください。』
ちょうど俺たちの名前が呼ばれた。
「行くぞ、恭介。」
「ああ。」
「二人とも頑張って!」
幼なじみの応援を受けてコートに向かった。
「いやー美少女幼なじみからの応援とはなんとも羨ましい。」
「うるさいよ。」
「へいへい。」
恭介には俺と雪が幼なじみなのは伝えてある。
俺と雪のことを知る数少ない友人だ。
「俺もあんな幼なじみほしいなー」
「良いぞ。幼なじみは。」
「はー自慢はいいですー」
恭介がウザそうにため息をつく。
「まあでも、実際何度もあの応援に助けられてきたけどな。」
俺は靴紐を結び直し、恭介と共にコートに入る。
雪の応援を受けたんだ。
勝たないとな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます