昔から香水の香りが強い方が苦手でした。
特に、動物系のムスクみたいな香りが、子供の頃に飼っていたウサギ小屋の匂いにしか思えず、食事で同卓するとほんとに無理で…
と、人に訴えてもたいていは「鼻が効くんだねえ」で片付けられてしまいます
自分語りのようになってしまいましたが、本作の主幹になるテーマの超感覚。
感覚が超人的に優れた人達の生きづらさなのに、読者の皆さんの共感を呼ぶ理由がここにあると思います。
対面で話す時も声が大きい人が嫌い、味付けの強い料理しか作らない妻の手料理が無理、同性ならボディタッチしてもいいと思ってるやつそういう問題じゃねえんだよ、ワインバーに香水つけてくるやつ帰れ(これは私です)
これらは受け手の寛容度の問題にされることも多いですが、本人にとってそこだけは耐えられない=本人にとっての超感覚、と言い換えることもできるのではないでしょうか
鈍感力なんていう本が流行るくらい、世間は感覚の鈍い人が住みやすくできている。
誰かが誰かを、あの人はそういうものだから仕方ないと許す度に、別の誰かを傷つけているかもしれない。
であればこそ、本作に共感した何かしらの感覚に優れる方は敏感であり続けて、同じ痛みのわかる誰かにとっての優しさになって欲しい。
本作の魅力はストーリーのテンポ感や構成の巧みさにありますが、根幹にあるのは作者様の優しさなのではないかと思います
才能とは異端。
過剰な才能は生きづらさになる。
人の為に使っても、隠そうとしても。
それでも、誰かを助ける為に、仲間と居場所に居れるように。
優しい人達の物語でした。
五感のうち一つが鋭い、五人はそれぞれ、その『才能』や、周りからの視線に苦しい思いをしてきました。それでも、誰かを助ける喜びを見失わなかった優しい人達。そして、彼らを掬い上げた室長。
みんな、得意なことも性格も違う。でも、みんな同じ方向を向いている。
それぞれの登場人物たちが『才能』を活かして事件を解決。『才能』の呪いが、〈チーム〉に入ることでゆっくりと解けていく……。
そして、ついに五感が揃い、動き始める物語。
歌舞伎町の夜の光——ウミホタル。
室長を含めた六人の優しさと、『才能』故の寂しさ、居場所の暖かさが、美しい言葉で、すっと伝わってきます。
おすすめです。
熾天使の翼は六つあるそうです。
天使が異形なら、異端もきっと善い者になれる——。