第11話
排水ポンプ点検が終わり、テスター、メガ(絶縁抵抗計)の片付けを倉庫でし、管理室に戻る。
これも手慣れた真猿と三村なら、1時間で終わってしまう。
時刻は深夜1時。
真猿は例のごとく、ロッカーからスイッチ2を取り出し、管理室の椅子に座っていた三村に、一緒にやろうと声を掛けようとした。
しかし、三村は何やら分厚い参考書を読んでいる。
どうやら相手は勉強中らしい。
真猿「それ、資格のやつスか?」
三村「ああ、電工の2種だ。まだ先の話なんだけどよ」
真猿「いいと思いますよ。学科の対策は早くやるに越したことないスから」
電工2種とは、電気工事士2種の通称である。
ビル管理をするなら、必須の現場もある。
600ボルト以下の電気工事ができ、建物は大体100か200ボルトの為、受電以外(6600ボルト)以外なら取り扱える。
そして何より、先月行われたVR体験で、何か資格があった方がいい、と三村は強く思った。
その話に付随した話題を、三村は参考書を開きながら聞いた。
三村「ところでよ、最近、所長がよく出かけるよな」
真猿「そっすね。何してんすかね?」
三村「あんまり、いい話じゃなさそうだ。マリアからちょっと聞いたらよ、事情聴取、らしい」
真猿「…!」
真猿はスイッチ2を操作する手を思わず止めた。
真猿「事情聴取?」
三村「この前のゲームの黒幕がロリサダの主役だったよな?その主役をぶっ倒した訳だが、今、病院にいるらしい」
真猿「…は、何で?」
三村「今は意識はあるらしいが、一時期、意識不明だったらしい。何でも、ゲームで受けたダメージの影響とか。多分、それで向こうが騒いで、所長に話がいってんだろ」
真猿は嫌な予感がした。
ロリサダの主役に最後の攻撃をしたのは自分と所長だった。
向こうはゲームに対する不備を認めたくない。
できればスタジオツアーに実装したいと思っているはず。
つまり、所長や自分に、何らかの原因を持たせる気かも、と不安になった。
真猿(いや、考え過ぎか?それは最悪のケースだし、俺らはただゲームをプレイしただけだ)
しかし、数日後、今度は真猿への事情聴取が入った。
警察と思しき者が出入りし、真猿はスタジオツアーの一室に呼び出された。
真猿は当時のありのままを説明し、事情聴取は終わった。
更に数日後、職場会議でこのような話が所長からされた。
ゲームプレイ自体には問題はない。
ゲーム自体にも、多少調整は必要だが、問題はない。
しかし、ゲームプレイ後、停電が発生し、その後、丸一日、営業ができなくなる自体が発生していた。
ゲームを終えた後、非常照明に切り替わっていたのは、その為である。
運悪く、非常用エレベーターのバッテリーも途絶えており、地上に戻るのに時間を要した。
結局、地上にいる臨時の作業員では復旧作業ができず、営業の再開はできなかった。
その責任を問われ、所長は「異動」の処分が下された。
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