バチカン淫獣討魔士~闇バイトに応募したら発情処理係になったんですが!?

上城ダンケ

淫獣討魔士

「い、以蔵くぅん……は、はやくしてぇ……もう……我慢できない」


 夜の音楽室。ソファの上で俺はレナちん先生の太ももに手を伸ばした。

 レナちん先生の本名はイレーナ・リロビッチ。生徒のみんなは「レナちん先生」と呼ぶ。だって自分で「レナです」って言うから。


 ロシア人とイタリア人のハーフで我が校の音楽教師。しかし、その正体は裏バチカンから派遣された淫獣討魔士だ。


 俺、江口以蔵えぐちいぞうは高校1年生。だが、その正体は裏バチカンに雇われた淫獣討魔士——ではない。

 ただのチェリーボーイであり彼女いない歴イコール年齢のどこにでもいるモブな男子高校生だ。


 ちょっと前までは。


「すこしは我慢してくださいよ」

「だってぇ……さっきの淫獣強かったんだもん」


 といって、両太ももで「ぎゅ」。俺の手をはさみこむ。


「……もっと上……上の方だよ、以蔵くん……さわって」

「上、ですね」


 びく。びくびく。俺の手が動くたびレナちん先生の身体が反応する。真っ白い太ももがどんどん赤くなって、体温も上昇する。


「は、はやく……してくれないと……だめになっちゃう」

「わかってます。それが……俺の役目ですから」


 レナちん先生は裏バチカン屈指の淫獣討魔士だ。


 裏バチカン。それはバチカンの命を受け淫獣を退治する機関だ。淫獣退治のためならあらゆる犠牲・違法行為を厭わない。つまり、バチカンの汚れ仕事を請け負うのが裏バチカン。


 そんな裏バチカンの淫獣討魔士であるレナちん先生。彼女は淫獣から淫力を吸収、無力化した上で聖剣で淫獣を倒す。


 で。その吸収した淫力がくせ者だ。淫獣を倒しても淫力は消えない。それどころか吸収された淫力はレナちん先生を侵食、淫獣にしてしまうのだ。浄化する必要があるのだが、浄化のスキルは誰にでも使えるものではない。そして俺には淫力浄化のスキルがある。


 ——女の子を送り迎えするだけの簡単な仕事です。時給1万円。応募要件:未成年かつ童貞、過去3年間家族以外の女性と会話したことがなくて得意科目は保健体育。好きな食べ物は(以下略)


 ネットで募集していたあやしいバイト。妙な応募要件だったが、俺は全ての要件を満たしていた。後から思えばどう考えても闇バイトな案件だったが、京都の花札会社が出すという新型家庭用ゲーム機購入資金を欲していた俺は時給1万円につられ、深く考えず応募した。


 その結果、俺は淫力浄化スキルを付与されることになった。あの珍妙な応募要件は「淫獣討魔士の体内に溜まった淫力を浄化するスキル」を付与される要件だったのである。


 ——いいか、以蔵くん。君の浄化スキルはカタルシスパニッシュメントだ。淫力に取り込まれそうになっている淫獣討魔士にお仕置きするんだ。説教するんだ。そうすれば淫力が浄化できる。具体的には「どうしてそんなに気持ちいいのか」問い詰めろ。そして「いけない子だ」と言ってお尻ぺんぺんしろ。それで淫力は昇天浄化カタルシスされる。


 そう教えてくれたのは乙名紫音おとなしおんさん。生徒会長で美人だけど本当は裏バチカンから派遣された最上級淫獣討魔士。


 そんなこんなで俺はスキルを伝授され、レナちん先生とコンビを組んで夜な夜な淫獣退治に出かけていたのだ。


 淫獣がうごめくのは深夜。だから浄化も深夜。浄化の儀式は結構大きな声が出る。普通のマンションやホテルでは大事になってしまう。その点、音楽室ならば安全。完全防音だから。レナちん先生は音楽の先生。どんな時間でも音楽室に入り込める。


 今日も淫獣を退治してきた。だから、レナちん先生は身体に淫力を蓄えている。音楽室に来るのもやっとなくらい、淫力が溜まっている。


 早く浄化しないと。まずは言葉でお仕置きするか。


「先生なんでしょ? なんでミニスカートなんですか? 生徒に示しがつかないでしょ?」

「だって、淫獣と闘うのにロングスカートだと引っかかるの……」

「ズボンにすればいいでしょ?」

「そ、そうだけど……」

「本当はこうやって、すぐにしてもらえるように。でしょ?」


 ……浄化開始。


「ひゃん!」

「どうしました?」

「な、なんでもないもん……」

「おや? 汗かな?」

「激しかったから……激しく闘ったから……汗でちゃう」


 レナちん先生が熱い吐息を漏らす。


「いけない先生ですね。お仕置きしないと」

「……うん。いけないの。私、いけないの。だから……もっと……もっと、お仕置きして」


 レナちん先生、俺に密着してきた。


「あん……もっと……上の方も……叱って」


 見た目はロリなレナちん先生だが出るとこは出ていて特にとある箇所はおっきい。


「っん」

「なんでツンツンなんですか?」

「淫獣と……闘うために……尖らせたの」

「こんなところで闘うんですか?」

「うん……ちゅきちゅきするの」


 ちゅきちゅき、と俺の胸にツンツンを押しつける。全然痛くない。むしろ気持ちいい。


「こんなので闘えませんよね? 本当は違いますよね?」

「ううぅ、わかんない。レナ、わかんない」

「先生のくせにわからないなんて。お仕置きです」


 ぺち。ぷるん。ぺち。ぷるん。


「痛くしないでぇ……」

「痛くはしてないです」


 そう、痛くはない。これはカタルシスパニッシュメント。淫獣にしかダメージはいかない。むしろ……


「気持ちいいはずですよ、先生」

「そ、そんなことないもん……」

「いいえ、あります。その証拠に……ほら」

「ん……」

「ほらね?」

「いぢわるっ! 以蔵くんの、いぢわるぅ!」

「意地悪じゃありません。パニッシュメントです。さあ、続けて説教しますよ。懺悔してください。レナちん先生。ぺちぺちされて気持ちいいなんて、変態ですよね? こうやって、軽く虐められるのが気持ちいいのって、変態ですよね?」


 気がつけば俺もレナちん先生も半裸になっていた。汗と汗が混じり合う。肌と肌が重なる。


「んんん……! 変態じゃないもん!」

「本当に?」


 ぺちぺち。


「んぐ、んはあああ!」


 半開きの唇から漏れる、レナちん先生の湿った声。さらに先生は唇の間からピンクの舌を突き出してきた。


「ほらやっぱり気持ちいいんだ」


 コクリと頷くレナちん先生。うん。カタルシスパニッシュメント、効いてるな。


「気持ちいいって認めるから……キスしていい?」


 熱い吐息が俺の顔にかかる。答えるより先にレナちん先生が俺の首筋にキス、舌を這わせる。


「レナだけ気持ちよくなるの、悪いわ。だから……以蔵くんも、気落ち良くしてあげる」


 ぺろぺろぺろ。唾液で俺の首が濡れていく。ちゅぱちゅぱ。何度も首にキスされる俺。その音がどんどん下に向かって下がっていく。


 ああ、きもちいい。腹の奥からムクムク欲望が立ち上がる。レナちん先生の唇が俺の胸、さらに下の方へ。


「あぅ……以蔵くん、あうぅ……」


 レナちん先生が、物欲しそうに腰をくねらした。


「ね、しよ? いいでしょ? えっち、しちゃお?」


 淫靡な声で俺に迫る。俺を見上げ、おねだり。


「レ、レナちん先生……お、俺……その……えっと、経験なくて……」

「レナもだよ、以蔵くん……」


 そうだった。レナちん先生は俺と同じく未経験だったんだ。でないと淫獣討魔のスキルは発動しないからね。


 ん?


 スキル? 淫獣討魔?


 ——いいか? 絶対ヤってはだめだぞ? 2人ともインモラルサイドに引き込まれ、淫獣になってしまうからな!


 ハッと我に返った。脳内で紫音さんの声が炸裂した。


 そうだ。これは罠だ。淫力によるインモラルサイドへの誘惑だ。


 レナちん先生はこんなにエロくない。エロい体つきをしているがまだ19歳。19歳なのに女教師なのは不思議だが裏バチカンに不可能はない。とにかく、自分からエッチに誘うような人じゃないのだ。男子生徒に「彼氏いますか?」と聞かれて「ふ、ふにゃああああ!」と逃げてくるようなお茶目おぼこさんなのだ。


「ぬおおおお!」


 気合い一発、雄叫びを上げる。そして、


「レナちん先生! レナちんは教師でしょ! 教師が生徒に手を出してはいけません! そんな淫行教師は……お尻ペンペンだっ!」


 ガバッと起き上がり、ソファの上のレナちん先生をひっくり返す。


「失礼しますっ!」


 すでに半分ほど脱げかかっている臀部に向かって右手を振り下ろす。


 ぺちん。


「ひゃうっ! い、痛いっ!」

「我慢です!」


 ぺち、ぺち。先生のお尻が赤く腫れてくる。物理的なダメージで赤くなっているのではない。俺はほとんど手に力を入れていない。この赤さは淫獣が受けている精神ダメージなのだ。


 俺の右手が黄金色に輝き出す。カタルシスパニッシュメントフルパワーだ!


「っあ、うぐ、はう!」

「いけない先生だ! レナちん先生は、いけない先生だ!」

「レナはいけない先生ですっ! レナは、レナは……いけない……い、い、いけないっ、せんせぇ、ですっ!」


 レナちん先生の身体が小刻みに震え出した。もうすぐだ。もうすぐで……淫力退散、浄化成功だ。


 俺の右手に力が入る。


「いけない? ダメです。いってください。というか、淫力を逝かせるんです! ほら! 逝きたいんでしょ? 逝くんです! 淫力を昇天させましょう! うりゃうりゃ! 淫力退散っ! 清め給え!」

「やだ、だめ、い、逝く! 逝っちゃうっ! い、逝くーーーーっ!」


 大きく先生の身体が震え、「ぶしゃああ」と浄化された淫力がほとばしった。



 * * *



 そして——数分後。俺とレナちん先生はソファの上で抱き合ったまま果てていた。もともと淫獣との闘いで疲れていたレナちん先生は、淫力浄化でさらにダメージ。俺は俺でスキル発動後は動けなくなってしまうのだ。紫音さんによれば「果てた後はそういうもの」なんだそうだ。


「以蔵くん……レナの身体むちゃくちゃにして……ひ、ひどいよぉ」

「むちゃくちゃって……仕方ないじゃないですか。淫力は……なんつーか……えっちな部分に集まるんですから。そこを集中的にパニッシュメントすることで浄化が」

「いいわけしないでっ!」


 ぎゅーっと俺にしがみつく。


「……おっぱい触られた」

「先生だって俺の触ったでしょ?」

「あ、あれは淫力がやったの! レナ、覚えてない」

「何を言ったか、言われたか、覚えてないってことですか?」

「うん」

「そっか。ならよかったです。お尻見ちゃったこと、知らないんですね」

「え! 見たの、レナのお尻!?」

「半分だけです」

「半分でも見たんだ! わーん! お嫁にいけない! 以蔵くんのバカ! 責任取って! 国際結婚して!」

「俺のせいじゃないです。裏バチカンのせいです。つまりバチカンが悪い」

「うわーん! バチカンのバカちん!」



終わり



【あとがき】「バチカンのバカちん」が書きたかっただけの短編です。楽しんで頂けたらハート、お星様、よろしくお願いします。えっち描写、これくらいならガイドライン問題ないでしょ?

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